研究課題/領域番号 |
22K06318
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鈴木 誠 広島大学, 両生類研究センター, 助教 (10533193)
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研究分担者 |
荻野 肇 広島大学, 両生類研究センター, 教授 (10273856)
井川 武 広島大学, 両生類研究センター, 准教授 (00507197)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 従順性 / ネッタイツメガエル / 家畜化 / 近交系 / QTL |
研究開始時の研究の概要 |
従順性は家畜化動物に共通して見られる刺激に対する低い忌避性を指す。19世紀に記載された古くから認識されている形質である一方、その生物学的基盤の多くは未だ不明で操作不能である。本研究では脊椎動物間で繰り返し出現する従順性および家畜化の普遍原理に迫ることを目的とし、近交系ネッタイツメガエルで見出された受動的従順性の性質に関わる遺伝子とその機能の一般性を行動生理・遺伝学解析から明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、動物家畜化にも関わる従順性の普遍原理を理解することを目的とし、ネッタイツメガエル近交系で見いだされたストレス応答行動とその関連形質の系統間差の分子基盤を行動生理・遺伝学解析によって解明することを目指している。 本年度は第一に、ネッタイツメガエルのストレス応答を定量的に評価するために生理学的手法の確立を目指した。当初はストレス刺激後に心臓から採取した血液からのストレスホルモン測定を試みた。しかし採取量が安定せず採取操作による個体への影響も懸念されたことから、スワブサンプリングにより採取した皮膚分泌物の測定へと計画を変更し引き続き条件検討を進めた。ストレス応答行動の系統間差への関与が示唆される遺伝子の一塩基多型の意義については、コードするタンパク質のドメイン解析からアミノ酸置換が膜貫通領域の末端近傍にあることを明らかにした。 第二に、系統特異的な形質と関連する遺伝子座を同定するための行動解析手法の至適化とF2世代の作成を進めた。行動解析に関しては、行動差異の評価を高スループットで実施可能にするため、撮影画像データからのバックグラウンド除去およびモルフォロジー演算処理による個体輪郭の自動抽出法を開発し、加えて抽出輪郭の単純形状への近似によりストレス応答行動の定量を自動化した。F2世代を用いた解析についてはゲノムスキャン実施には至らなかったものの、性成熟していたF1世代を用いた交配により解析サンプルとして約300匹が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で当初計画したネッタイツメガエルのストレス応答の生理学解析、系統間差への関与が示唆される一塩基多型の意義解析、そして系統特異的な形質と関連する遺伝子座の同定解析について一定の進展が得られたため、おおむね順調に進展していると判断した。一方でF2世代の作成が当初計画より遅れたために今年度に計画していたゲノムスキャンは実施まで至らなかった点が課題となった。
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今後の研究の推進方策 |
ストレスホルモン測定手法の条件検討を速やかに実施したうえで、ストレス応答の系統間差との関連を検証する。ストレス応答行動の系統間差への関与が示唆される一塩基多型の意義については、この遺伝子がコードする膜タンパク質の強制発現系での活性測定により明らかにするとともに、F2世代におけるストレス応答行動と一塩基多型との関連性を解析することにより検証する。F2世代でのゲノムスキャンについては次年度の下半期での実施を計画している。
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