• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

異なる低温環境に棲む4種の有尾両生類の侵害温度センサーの特性解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K06324
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
研究機関長浜バイオ大学

研究代表者

齊藤 修 (斉藤 修)  長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (60241262)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワードTRPチャネル / 低温適応
研究開始時の研究の概要

動物の温度感受性は、マウスなどモデル動物を中心に研究が進められ、複数のTRPチャネルを使った温度感受体系が示され、生息環境選択に重要な侵害温度センサーはTRPV1, TRPA1, TRPM8であることが示された。一方、地球上には多様な寒冷・低温環境が存在し多くの動物たちが生息している。しかし、モデル動物の侵害温度センサーの温度応答性ではこれら動物の生息や適応は説明できない。本研究では、低温環境を好む有尾両生類の特に異なる温度ニッチを持つ4種が、その異なる低温生息地選択と適応性を支えるどのような温度感受性を持ち、それらの感受性が如何なる変化を獲得した侵害温度センサーに基づいているのか解明する。

研究実績の概要

本研究では、低温環境を好む有尾両生類が、その生息地選択と適応性を支えるどのような温度感受性を持ち、それらの感受性が如何なる変化を獲得した侵害温度センサーに基づいているのか、TRPV1,TRPA1,TRPM8をクローニングし、その温度応答特性とその機能発現の機構を明らかにする。 前年は、4種の有尾両生類(アホロートル、イベリアトゲイモリ、ヤマトサンショウウオ、ハコネサンショウウオ)のTRPV1の特性とその機能発現の機構を明らかにした。
本年度は、低温センサーに注目した。まず有尾両生類個体の低温に対する行動を検討した結果、いずれの有尾両生類も無尾類とは違い、低温忌避を示さない事が判明した。そして、4種の有尾両生類から代表的低温センサーのTRPM8をクローニングし、その特性を解析した。配列を決定すると、類似性は極めて高く、ヒト・ニワトリなど種々の動物に対して73%程度、有尾両生類間では80%を超える同一性が見られた。また、TRPM8の代表リガンドであるメンソールに対する有意な応答が検出された。次にそれぞれのTRPM8の冷刺激応答性を解析した。すると、同条件でヒトTRPM8では低温応答が検出されるのに対し、4種全てのTRPM8が全く低温では活性化されないことが判明した。TRPM8は、N末側に4個のメラスタチン相同ドメイン(MHR1-4)を持つ。まずヤマトサンショウウオとヒトとの間でキメラを作成し、低温応答能を消失させる責任部位を探索した結果、MHR3のC末側の8アミノ酸残基内の変異がキーであることが示された。一方、同じ検討をハコネサンショウウオTRPM8で行うと、MHR3だけでなくMHR2が低温応答能欠如に関わっていることが示された。よって、まだ詳しい解析が必要だが、有尾両生類で起こったTRPM8の低温応答能欠如はそれぞれの種で個別に起こった可能性が高いと思われた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

基本的に全ての予定した分子のクローニングには成功し、順調に機能解析と特性発現機構の解明が進めることが出来ている。

今後の研究の推進方策

有尾両生類の高温忌避行動の一部が既に解析した侵害高温センサーのTRPV1の特性では説明できない部分がある為、やはりもう一つの主要な侵害高温センサーであるTRPA1についても研究を進める。3種の有尾両生類(ハコネサンショウウオ、アホロートル、イベリアトゲイモリ)からTRPA1をクローニングし応答解析を行った結果、有尾両生類全てで他の動物のTRPA1にはみられないCa2+存在下で高温活性化閾値が6~13℃ 下がる現象が発見され、有尾両生類の低温適応に強く寄与すると考えられた。一方、他の動物のTRPA1では、Ca2+存在下での閾値変化のない高温応答増強が知られていた。そこで、この他の動物のTRPA1の知見を参考に、ハコネサンショウウオTRPA1の点変異解析でCa2+依存的閾値降下の責任部位を探索した。結果、膜貫通部にあるチャネルポアの3個の酸性アミノ酸に行きついた。そして、最終的にハコネサンショウウオTRPA1のチャネルポアの924番目のアスパラギン酸(D)が重要で、これをアスパラギン(N)に変えるとCa2+依存的閾値降下は完全消失することが判明した。そこで、今後は、ハコネサンショウウオTRPA1のD924を含むチャネルポアのみで他のTRPA1にもCa2+依存的閾値降下が起こせるのか、さらにはアホロートルとイベリアトゲイモリのTRPA1でも同じメカニズムでCa2+依存的閾値降下が起きているのかなどについて解析を進めていく。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (14件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (11件)

  • [雑誌論文] Two single-point mutations in Ankyrin Repeat one drastically change the threshold temperature of TRPV12023

    • 著者名/発表者名
      Shogo Hori, Michihiro Tateyama, Tsuyoshi Shirai, Yoshihiro Kubo, Osamu Saitoh
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 14 号: 1 ページ: 2415-2415

    • DOI

      10.1038/s41467-023-38051-1

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Decreased heat sensitivity of lungfish TRPV1 revealed by the heterologous expression system2023

    • 著者名/発表者名
      Shogo Hori, Osamu Saitoh
    • 雑誌名

      Biochem. Biophys. Res. Commun.

      巻: 647 ページ: 16-22

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2023.01.060

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cloning and functional characterization of medaka TRPV42022

    • 著者名/発表者名
      Shogo Hori, Naoki Sakamoto, Osamu Saitoh
    • 雑誌名

      Comp. Biochem. Physiol. A Mol. Integr. Physiol.

      巻: 267 ページ: 111182-111182

    • DOI

      10.1016/j.cbpa.2022.111182

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 侵害センサーTRPV1の高温感受性を決定する四肢動物共通のメカニズム2023

    • 著者名/発表者名
      堀翔悟、立山充博、白井剛、久保義弘、齊藤修
    • 学会等名
      第69回日本生化学会近畿支部例会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 有尾両生類とTRPA1チャネルの高温応答性2023

    • 著者名/発表者名
      新谷祐生、堀翔悟、齊藤修
    • 学会等名
      第69回日本生化学会近畿支部例会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 有尾両生類TRPA1の細胞外Ca2+による開口温度低下2023

    • 著者名/発表者名
      新谷祐生、堀翔悟、齊藤修
    • 学会等名
      第94回日本動物学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] TRPV1の第一アンキリンリピートは開口温度の動物種差に寄与する2023

    • 著者名/発表者名
      堀翔悟、白井剛、立山充博、久保義弘、齊藤修
    • 学会等名
      第94回日本動物学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 有尾両生類TRPM8のクローニングと機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      小林大樹、沢尾忠宏、堀翔悟、齊藤修
    • 学会等名
      第68回日本生化学会近畿支部例会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 堀翔悟、立山充博、白井剛、久保義弘、齊藤修2022

    • 著者名/発表者名
      有尾両生類TRPV1に共通の低い高温活性化閾値はN端の2アミノ酸残基が決定する
    • 学会等名
      第68回日本生化学会近畿支部例会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 有尾両生類の高温忌避行動とTRPA1チャネル2022

    • 著者名/発表者名
      新谷祐生、堀翔悟、織田麻衣、塩生真史、齊藤修
    • 学会等名
      第93回日本動物学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 有尾両生類TRPV1が示す低い高温活性化閾値の分子機構2022

    • 著者名/発表者名
      堀翔悟、白井剛、立山充博、久保義弘、齊藤修
    • 学会等名
      第93回日本動物学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 有尾両生類のTRPM8チャネルのクローニングと低温応答解析2022

    • 著者名/発表者名
      沢尾忠宏、小林大樹、堀翔悟、齊藤修
    • 学会等名
      第93回日本動物学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] メダカの海水適応とTRPV1の機能2022

    • 著者名/発表者名
      小西吟知、薮下斉央、浅野麻己子、安田隆之介、堀翔悟、竹花佑介、齊藤修
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] TRPV1のアンキリンリピート1は高温開口温度を決定する2022

    • 著者名/発表者名
      堀翔悟、立山充博、白井剛、久保義弘、齊藤修
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi