研究課題/領域番号 |
22K06325
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
藍 浩之 福岡大学, 理学部, 教授 (20330897)
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研究分担者 |
岡田 龍一 神戸大学, 理学研究科, 学術研究員 (20423006)
佐倉 緑 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (60421989)
池野 英利 福知山公立大学, 情報学部, 教授 (80176114)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 脳・神経 / 行動学 / 神経科学 / 昆虫 / 生理学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではミツバチの尻振りダンスで符号化された蜜源への距離と方向を統合する神経回路を細胞内記録・染色法により同定し、さらにフライトシミュレータ内で疑似飛行中のミツバチ脳から埋め込み電極により、ベクトル統合に関わるニューロンの活動記録、および電気刺激を行い、尻振りダンス追従から蜜源ナビゲーションに至る神経機構を解明する。
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研究実績の概要 |
尻振りダンスで生じる振動に応答する前大脳の介在ニューロンの形態学的、生理学的同定を進めている。しかし、細胞内記録、染色法によるニューロンデータの蓄積は、それぞれのニューロン素子の特徴を詳細に記述する上では有効な方法ではあるが、その全体像を理解するためには脳内局所染色によるニューロンの網羅的地図化を同時に進める必要がある。そのため、今年度は振動処理一次中枢である背側葉に蛍光デキストラン注入による介在ニューロン細胞体の地図化を試みた。その結果、背側葉に分枝を持つ23個のニューロン群を同定した。そのうち15個のニューロン群はミツバチ以外を含む昆虫でも神経解剖学的に同定されており、それ以外の8個のニューロン群は現在までに未同定であった。 前大脳の2つの細胞体群のうち、正中線付近にある細胞体群iPCMCはすでに藍らが2009年に誌上発表したDL-Int-1を含む細胞体群である。少なくとも3つの細胞体を含むことからDL-Int-1は3つの姉妹細胞を持つ可能性が示唆される。細胞内染色法でもDL-Int-1が同一標本で複数個染色される例もあったことは、この可能性を指示する結果と考えている。 前大脳のもう一つの細胞体群であるiPCVCは、藍らが2017年に誌上発表したDL-dSEGの一部, DL-dSEG-mPPLを含む複数の異なる分枝様式を持つ細胞体群である。少なくとも13個の細胞体を含むことから異なる機能を持つニューロン群であることが示唆される。 一方、中大脳の側方に細胞体を持つニューロン群DLPCに藍らがこれまで同定した振動応答性ニューロンが多く含まれていた。これについては、「今後の研究の推進方策」に記述する。食道下神経節には13個の細胞体群が見つかったが、これらの多くは口器の運動ニューロンの細胞体群と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は脳内色素局所注入による細胞体群の網羅的同定を行うことで、背側葉に分枝するニューロン細胞体の地図化をおこなった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の研究により、中大脳では2つの細胞体群ALMCとDLPCを同定した。両群とも同側と対側の背側葉に分枝する群を持ち、いずれも10数個の細胞体からなる。これまで同定された振動応答性のニューロンでALMCに細胞体を持つニューロンは存在しないことから、この群は振動情報処理には関わっていない可能性がある。一方DLPCには、2009年に誌上発表したDL-Int-2に加え、DL-dSEGの一部、DL-mPPL, DL local, DL-LP, DL-dSEG-LP, DL-dSEG-whole PPL, Bilateral DL-dSEG-LP, Bilateral DL-dSEG-mPPL, Bilateral DL-dSEG-PPL等多岐にわたる分枝をもつニューロンが混在しており、振動応答性ニューロンの多くはこの細胞体群に由来していることが示唆される。これまでは前大脳振動応答性ニューロンを集中的に同定してきたが、中大脳に細胞体を持つニューロンがかなりあることから、中大脳ニューロンに注目した細胞内記録による実験を進める必要がある。さらに振動応答性の脳下降性ニューロンも同定を進める予定である。
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