研究課題/領域番号 |
22K06327
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 公益財団法人サントリー生命科学財団 |
研究代表者 |
大杉 知裕 公益財団法人サントリー生命科学財団, 生物有機科学研究所・統合生体分子機能研究部, 研究員 (50507986)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ホヤ / GnRH / 背索叢 / 配偶子 / 神経ペプチド / カタユウレイボヤ / 神経系 / 尾索動物 / 生殖制御 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、尾索動物のホヤにおいて、脳とは独立した神経組織(背索叢:はいさくそう)が新たな生殖制御中枢として機能していることを明らかにするために、①形態学的解析法により背索叢で高発現が確認されているGnRHの神経系の形態学的特徴を決定する。②ホヤの卵胞にGnRHを添加して培養し、卵胞サイズや卵胞の成熟度、排卵現象を評価して卵胞に対するGnRHの作用を決定する。③GnRHを添加培養した卵胞にける分子生物学的解析から卵胞におけるGnRHの作用機構を決定する。以上の研究により、背索叢GnRHによるホヤの卵胞成長・成熟・排卵機構を分子レベルから個体レベルにわたって明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度はGnRH1遺伝子にコードされるペプチドを卵胞に添加・培養して、24時間後の形態学的解析を実施したが、卵胞の形態に有意な変化は見られなかった。したがってGnRH1は卵胞の形態学的な変化ではなく、卵胞内部で起きる遺伝子やタンパク発現の変動を制御している可能性が示唆された。ホヤにはGnRH1遺伝子に加え、GnRH2遺伝子が存在している。前年度までにトランスジェニック体を用いた解析からGnRH1陽性の神経線維は主に卵巣へ到達していることを明らかにした。一方、本年度はGnRH2遺伝子陽性の神経投射を調べたところ、GnRH1とは異なり、配偶子の放出を担うorange-pigmented organ(OPO)にGnRH2陽性の細胞体及び神経線維が分布していることが明らかになった。これらの結果から、GnRHシステムが卵巣の調節だけではなく、配偶子の放出を制御していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は当初計画に従いGnRH1の卵胞における作用を解析した。また、GnRH2遺伝子は成体では発現量が低いとされており、これまで重要視されてこなかったが、形態学的解析からGnRH2の神経系が配偶子の放出を制御する可能性を新たに見出した。これらの結果からホヤ背索叢におけるGnRHの制御系について当初の想定以上の成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
GnRH1の卵胞における作用を解析するため、GnRH処理を行った卵胞においてタンパク解析や遺伝子発現解析等を実施する。また、GnRH2は配偶子の放出制御に関わる可能性が示されたことから、orange-pigmented organにおける形態学的解析をさらに進めるとともに、トランスクリプトーム等の遺伝子発現解析も実施する。
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