研究課題/領域番号 |
22K06334
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45010:遺伝学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
中越 英樹 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (50314662)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ショウジョウバエ / 妊性 / 精液 / 栄養シグナル / ステロイドホルモン / ストレス応答 / 分子シャペロン / 糖鎖 |
研究開始時の研究の概要 |
肥満は多くの生活習慣病の発症リスクを高めるだけでなく,妊性も低下させることが報告されている. 男性 (オス) の妊性は精液成分によっても大きく影響を受ける.ショウジョウバエの精液をつくる生殖器官 (附属腺) において働く転写抑制因子 Dveはオスの妊性維持に重要である.成虫附属腺の主細胞において Dve タンパク質は恒常的に分解されているが,過剰栄養などのストレスに応答して安定化 (脱抑制) した Dve がストレス応答反応を担い,妊性低下を誘導する.本研究では,過剰栄養ストレス時の Dve 標的遺伝子候補に注目し,栄養環境に応答した精子運動性 (妊性) の制御メカニズムを解明する.
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研究実績の概要 |
ショウジョウバエのオスの妊性を担う附属腺は,約1,000個の主細胞と60個の第二細胞から構成される.転写制御因子Defective proventriculus (Dve) は蛹期では附属腺全体で発現が見られるのに対し,成虫期では第二細胞でのみ見られる.これは成虫期主細胞ではプロテアソーム活性によりDveが常に分解されているためである.しかし,過剰栄養シグナルや小胞体ストレスを受けるとプロテアソーム機能が阻害され,Dveの分解が停止して安定化する「Dve脱抑制」が生じ,オスの妊性が低下する.ストレス期間を変化させた実験により,Dve脱抑制はストレス強度に依存した可逆的な現象であることが分かった. ステロイドホルモン (エクダイソン) シグナルは栄養状態や妊性と密接に関連しており,附属腺におけるエクダイソン受容体の発現も栄養シグナルに依存し,Dve 活性によって維持されることが明らかとなった.主細胞におけるエクダイソン受容体も Dve と同様の分解制御を受けている可能性について検討したところ,エクダイソン受容体 A (EcR-A) は強制発現した主細胞で安定的に検出できた.一方,エクダイソン受容体 B1 (EcR-B1) は強制発現した主細胞で強い分解制御を受けていることが明らかとなった.また,ストレス条件下においては,第二細胞の EcR-A 発現が低下することも明らかとなり,ストレス応答におけるステロイドホルモンシグナルが妊性制御に関わる可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Dve 脱抑制時に発現が低下する Dve 標的遺伝子候補がマイクロアレイ解析によって同定されており,ストレス応答性が確認された遺伝子については GFP 融合タンパク質発現系統が準備できている.
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今後の研究の推進方策 |
ストレス応答性が確認されている Dve 標的遺伝子候補について, GFP 融合タンパク質発現系統を用いて詳細な解析を進める予定である.
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