研究課題/領域番号 |
22K06338
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
西原 秀典 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (10450727)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | レトロトランスポゾン / 転移因子 / エンハンサー / 哺乳類 |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類のゲノムには進化の過程で蓄積されたレトロトランスポゾンが多数存在し、その一部は遺伝子発現制御に深く関与することが知られている。本研究では各生物種の相同組織で働く転写因子の結合サイトが系統特異的なレトロトランスポゾンによって独立に増幅され、それらが系統特異的エンハンサーの進化に寄与したことを明らかにする。またこれらが種間の遺伝子発現の差に対してどれほど関与するのかを解明する。
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研究実績の概要 |
レトロトランスポゾンの一部にはエンハンサーとして機能を獲得した配列が知られていることから、系統特異的に増幅したレトロトランスポゾンによるエンハンサーの創出が生物種間の遺伝子発現の変化をもたらした可能性がある。本研究ではこれを検証するため、ヒトとマウスの神経細胞への分化過程で機能するレトロトランスポゾン由来のエンハンサーを網羅的に探索し、系統特異的エンハンサーの獲得過程を解明する。これを通して遺伝子発現パターンの種間差におけるレトロトランスポゾンの貢献度を定量的に評価することを目的としている。そのための第一段階として、神経細胞への分化に必須な転写因子のChIP-seqデータ解析によってそれらが結合するエンハンサー配列を探索し、その中でレトロトランスポゾンに由来する系統特異的エンハンサーを同定することを計画した。 本年度はヒトES細胞から神経前駆細胞への分化前後における転写活性化因子Sox2のChIP-seq データの再解析をおこなった。これによりSox2の結合サイトを網羅的に探索し、それをES細胞のみ、神経前駆細胞のみ、および両細胞で共通する結合サイトに分類した。それぞれについて転移因子に由来するものを探索し、それらをファミリーレベルで分類した。その結果、3万箇所のエンハンサー候補のうち予想以上の割合が転移因子に由来することが明らかになった。その一部はヒトとマウスの分岐後に増幅したレトロトランスポゾンファミリーであったことから、これらが系統特異的なエンハンサー創出に寄与した可能性があるものとして今後注目して解析すべき対象となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の遂行に不可欠なヒトのES細胞と神経前駆細胞のChIP-seqデータ解析を完了させ、Sox2結合サイトが計3万箇所以上に上ること、そのうちかなりの割合がレトロトランスポゾンに由来することを明らかにした。重要なことに、この割合は代表者が先行研究において乳腺で機能する転移因子由来エンハンサーを同定した際に得られたものと同等であった。このことは哺乳類の各組織で機能するエンハンサーの進化パターンの共通性を考察する上で重要な示唆を与える結果となった。またES細胞と神経前駆細胞の間でSox2が結合するレトロトランスポゾンとDNAトランスポゾンの組成に差が見られたことは非常に重要な結果であり、今後その機能的差異を詳細に解析する必要性が見出された。以上の成果から本研究は順調に進行していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き計画通りに本研究課題を遂行する。次年度はレトロトランスポゾンに由来する系統特異的エンハンサーの網羅的同定のために、ヒトのみならずマウスの神経細胞分化の過程で機能するエンハンサーの探索をおこなう予定である。特に内在性レトロウイルスはヒトとマウスで異なるファミリーが多く占めることから、霊長目と齧歯目の共通祖先以降の各エンハンサーの獲得時期を比較ゲノム解析で明らかにする。またそれらに結合する転写活性化因子の機能解明、特に近傍遺伝子の系統特異的発現上昇に与えた影響を明らかにする予定である。これにより霊長目と齧歯目の両系統におけるレトロトランスポゾン由来のエンハンサー進化パターンの共通性と系統特異性を明らかにする。
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