研究課題/領域番号 |
22K06340
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
吉田 真明 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 准教授 (50555498)
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研究分担者 |
スティアマルガ デフィン 和歌山工業高等専門学校, 生物応用化学科, 准教授 (50625259)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | エピゲノム / バイオミネラリゼーション / 軟体動物 / ゲノム解析 / 分子進化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、タコブネゲノムを用いて転写制御解析の手法を確立し、タコブネが外殻をつくるのに必要な腕における殻遺伝子の使いまわしに必要な貝殻遺伝子のエピゲノム動態を明らかにする。また、貝殻形成遺伝子が殻の有無に限らずゲノム中に保持される機能を組織ごと・種ごとの発現解析により検証し、組織ごとの遺伝子の発現やその使いまわしを可能にしたゲノム動態を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、カイダコ類のゲノムを用いて転写制御解析の手法を確立し、カイダコが外殻をつくるのに必要な腕における殻遺伝子の使いまわしに必要な貝殻 遺伝子のエピゲノム動態を明らかにすることである。このためには、無脊椎動物では確立していないヒストン修飾のシーケンス手法を異なる形態的特徴をもつイカ・タコ類で確立する必要がある。2年目にあたる本年は、ダイオウイカの全ゲノム領域の転写調節領域の推定が進行している。遺伝子活性化のオープンクロマチン部位とヒストン修飾をChIP-Seq解析で推定し、その実験的検証を行う。ダイオウイカは日本海で漂着した個体からサンプルを入手しており、脳サンプルから十分のヒストン画分が得られること、既存の複数の抗ヒストン修飾抗体に対する免疫沈降の検証が完了した。2023年の標本に加え、2019年のダイオウイカ漂着個体を得られる目処がたったため、遺伝子発現に関わるエピゲノム修飾を複数サンプルでゲノムワイドに検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
入手した頭足類サンプルのうち、アオイガイとダイオウイカを用いて全ゲノム領域の転写調節領域を分析した。遺伝子の活性化状態を反映する オープンクロマチン部位とヒストン修飾を推定するのに最も有効であるChIP-Seq解析を適用し、遺伝子単位の転写調節領域を実験的に検証する。対象種として、 解読済みのドラフトゲノムが利用可能であるダイオウイカ(da Fonseca et al. 2020)とアオイガイ(Yoshida et al. 2022)を選定している。。アオイガイは2021年に島根県内の漁業者から入手した小型の個体を体組織ごとに分割した。 一般にダイオウイカのサンプル入手は容易ではないが、近年日本海で漂着が続いており2023年に入手した個体をもちいてChIP-seq法の予備的検討を行った。 筋肉サンプルや肝臓サンプルではおそらく細胞数が少なく核DNAが十分に得られず、ヒストン画分の濃縮も困難であることが明らかなとなった。そのため、脳の一部である視葉を用いたところ、定法によりヒストン修飾部位の抗体による検出が可能であることがわかった。ここまでに複数のヒストン抗体による免疫沈降まで検証が完了したが、ダイオウイカは漂着個体に頼っているため、脳組織の得られる個体数が非常に限られる。2019年に漂着した個体が、しまね海洋館アクアスに冷凍保存されていることがわかったため、これを研究利用可能か検討している。 これが得られれば、次年度に複数個体の脳サンプルに拡張して、シーケンス解析を行うところまで進行している。 組織サンプルの入手に予想外に時間がかかったため、シーケンス解析が遅れており、全体としてはやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ダイオウイカの脳組織から、定法によりヒストン修飾部位の抗体による検出が可能であることがわかった。2023年の新春に日本海に漂着したダイオウイカのサンプルに加え、2019年度に漂着した個体について、水族館の協力を得てサンプル回収の目処がついた。2個体の分析から再現性を検討し、全ゲノムワイドのChIP-seq解析に進行する見込みである。得られたデータは無脊椎動物ではごく限られているChIP-seqの方法論となるため、priprintとして速やかにまとめ、2024年度中に投稿論文として発表を目指す。
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