研究課題/領域番号 |
22K06356
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
甲山 哲生 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (50793379)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 動物-微生物相互作用 / ショウジョウバエ / 適応 / 遺伝的多様性 / 免疫関連遺伝子 / ショウジョウバエ科昆虫 |
研究開始時の研究の概要 |
微生物群集は宿主の発生、生理、健康に多大な影響を与えていることがわかっているが、宿主の進化・多様化にどのように寄与しているかについてはいまだ未知の部分が多い。ショウジョウバエ類は様々な環境に適応した非常に多様なグループであるが、ほとんどが腐食性であることから、その生態は微生物群集と密接な関係にあると考えられる。本研究では、ショウジョウバエ類の野生種を研究対象として、飼育実験ならびに分子遺伝学的アプローチにより、動物の環境適応が、環境変化に応じた微生物群集と宿主の免疫を介した相互作用の変化により達成されるという仮説を検証する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、ショウジョウバエ類の野外における餌資源と微生物群集の群集組成についての基礎データの収集に重点を置き、北海道および関東においてショウジョウバエ類の採集を行った。果実、キノコ、草本など、様々な餌資源から、ショウジョウバエ類20種以上について十分な個体数のサンプルを得た。現在、これらのサンプルから抽出したDNAを用いて、細菌類および真菌類のDNAバーコンディング領域の解析のためのライブラリ調整を進めている。
また、ショウジョウバエ体内外の微生物群集組成と、ショウジョウバエ類の免疫関連遺伝子の発現量の季節変化を定量するため、バナナトラップを用いた定期的な採集を行った。トラップを用いた採集では、誘引されたショウジョウバエ成虫を採集するとともに、ベイトとして用いたバナナの表面からDNAを抽出し、そこに含まれるショウジョウバエ由来のDNAの定量を試みた。ショウジョウバエ類の存在量を定量する遺伝子マーカーとして、ミトコンドリア16S rRNA領域を標的として、ショウジョウバエ類を特異的に増幅するプライマー・プローブを設計した。これを用いて、通常のトラップと袋掛けによりショウジョウバエ類の侵入を遮断したトラップ、また未処理のバナナのそれぞれから抽出したDNAサンプルについて、デジタルPCRにより解析した結果、通常のトラップのみで標的DNA断片の増幅が確認され、高い感度でショウジョウバエ類由来のDNAを検出するマーカーを開発することができた。
これらに加えて、前年度から引き続き、ショウジョウバエ類の免疫関連遺伝子発現量を定量するためのマーカー開発を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属機関において、建物の改修工事に伴う研究室の移転のため、一時的に実験室を使えない期間が生じたことと、また、同じ理由で飼育系統を維持できなくなったため計画の変更を余儀なくされた。一方で、野外サンプリングの場所や対象種を変更し、また、トラップ採集の方法を工夫することによって、サンプルは順調に集まってきている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、野外でのショウジョウバエ類での採集を継続する。得られたサンプルについて、前年度までに開発した遺伝子マーカーを用いて、DNA・RNAベースでの季節動態解析および遺伝子発現解析、微生物群集解析を進める。また、室内飼育実験系の再構築を行い、微生物群集組成を人為的に変化させることによるショウジョウバエの成長、繁殖活性への影響を明らかにする。
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