研究課題/領域番号 |
22K06360
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
小林 峻 琉球大学, 理学部, 助教 (60838150)
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研究分担者 |
伊澤 雅子 北九州市立自然史・歴史博物館, その他部局等, 館長 (10192478)
傳田 哲郎 琉球大学, 理学部, 教授 (50284948)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | Mucuna / mammal / pollination / 送粉 / 哺乳類媒植物 / 広域分布 / 哺乳類 / 地域差 |
研究開始時の研究の概要 |
特定の動物のみに送粉を依存する植物種では、送粉者の制約により広域に分布することは少ないと予想される。本研究では、マメ科植物に特有の蝶型花をもち、特定の哺乳類を送粉者とすると考えられているトビカズラ属を対象とし、広域分布種と局所分布種の送粉様式の違いを明らかにすることを目的とする。本研究では、本属の全3亜属の内2亜属において、それぞれ広域分布種と局所分布種を選定し、送粉者、送粉者の送粉行動、花の外部形態、受粉生態、花の構造、香気成分、花蜜特性、遺伝構造の差異を分布域内で網羅的に調査し、広域分布種の送粉様式の進化について包括的に議論する。
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研究実績の概要 |
本研究は、マメ科トビカズラ属を対象として局所分布種と広域分布種の送粉様式の違いを明らかにすることを目的としている。本属には3つの亜属が認められているが、このうちの2つの亜属(Mucuna subg. Macrocarpa およびM. subg. Mucuna)において、広域分布種と局所分布種がいずれも存在することが知られている。本研究では、M. subg. Macrocarpaの2種(局所:M. thailandica、広域:M. macrocarpa)および、M. subg. Mucunaの2種(局所:M. membranacea、広域:M. gigantea)を対象として、送粉様式を解明するとともに、広域分布種については形態的、遺伝的地域差についても明らかにすることを目的としている。 2023年度は、M. giganteaの送粉者の特定に関する調査を西表島で継続するとともに、新たに台湾で開始した。また、M. membranaceaの送粉者特定に関する調査を西表島において開始した。M. giganteaについては沖縄島において新たな自生地を探索するとともに、琉球列島、小笠原諸島、台湾で採集した標本に基づく形態の比較を開始した。遺伝的な差異に関しても明らかにするために、DNAの抽出などの準備を行った。 昨年度までに実施した、M. thailandicaの調査結果については、現在学術論文として国際誌に投稿中である。また、M.macrocarpaの香気成分に関する論文も国際誌への投稿を準備しており、少なくとも2024年度中に投稿する予定である。過年度までの研究成果は、国内の学会およびアメリカで開催された13th Internationl Mammalogical Congressやタイで開催されたInternational Conference on Biodiversity (IBD2023)で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、M. subg. Macrocarpaに属し、タイのDoi Inthanon固有種のM. thailandicaの送粉様式に関する調査を終えたので、論文を投稿中である。 M. subg. Mucunaについては、広域分布種のM. giganteaについて、計画通り2023年12月から台湾において自動撮影カメラによる訪花者の特定調査を開始した。西表島における本種の調査も継続している。また、同亜属に属するM. membranaceaの送粉者特定に関する自動撮影カメラを用いた調査も西表島で開始した。台湾および西表島では花期が継続しているためカメラを設置中である。さらに、沖縄島において新たに確認したM. giganteaの自生地5箇所を含め、DNAおよび花形態の比較のためのサンプリングを沖縄島、西表島および台湾で行った。本種の形態についてはすでに比較を進めており、沖縄島の1集団の花形態が他地域のものとは大きく異なることが明らかになっている。 2022年度中に出版を予定していたMucuna属の送粉様式の進化に関する総説論文は、2023年度に受理・出版された。現在、広域分布種のM. macrocarpa香気成分の分析結果についての論文もとりまとめている。
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今後の研究の推進方策 |
各亜属の対象種について、以下の通り研究を進める計画である。 M. subg. Macrocarpa:M. macrocarpaについては、香気成分分析の論文の執筆を予定している。 M. subg. Mucuna:M. giganteaについては、昨年度に設置した自動撮影カメラで撮影された動画の解析を行う。また、台湾および西表島に自動撮影カメラを設置しているため、花期が終了したらカメラを回収し、動画の解析を行う。昨年度複数の島において採集したサンプルについて、DNA解析および形態計測を行い学会で発表するとともに、学術誌への投稿の準備を行う。ただし、現状ではサンプルが足りていないので、引き続き採集を行う必要がある。M. membranaceaについては、自動撮影カメラを用いた送粉者の特定に関する調査を継続する。 論文の執筆を進めるとともに、国内会議での研究成果の公表をおこなう。また、M. giganteaの国外の産地情報を収集する。また、M. membranaceaの台湾個体群についての情報を収集する。
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