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カワゴケソウ科における単子葉性の平行進化:「進化しやすい形質」への転換機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K06361
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分45030:多様性生物学および分類学関連
研究機関大阪公立大学

研究代表者

厚井 聡  大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (60470019)

研究分担者 相田 光宏  熊本大学, 国際先端科学技術研究機構, 教授 (90311787)
片山 なつ  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (20723638)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
キーワードカワゴケソウ科 / 単子葉化 / 胚発生 / 幼芽 / 長期栽培 / カワゴロモ属 / テルニオプシス属 / トリスティカ亜科 / 幼芽の消失 / 形態進化 / 発生拘束 / 子葉
研究開始時の研究の概要

生物には進化的に「変わりにくい形質」と「変わりやすい形質」とがある。「子葉を2枚もつ」という形質も,被子植物で広く保存された「変わりにくい」形質である。ところが,カワゴケソウ科の一部の系統で,子葉が2枚から1枚になる進化が繰り返し起こった。この系統では,2枚の子葉の間に生じるはずの芽が失われている。つまり,「芽をつくる」という発生上の制約が解除されたことで,「子葉を2枚もつ」という「変わりにくい形質」が「変わりやすい形質」へ転換した可能性がある。本研究では,その遺伝的要因を明らかにし,芽の消失との関連を解析することで,形質の変わりやすさに対する発生上の制約(発生拘束)の役割を検証する。

研究実績の概要

被子植物は、胚発生により2枚の子葉が生じ、その間に幼芽(茎頂分裂組織)が形成される。しかし、水生被子植物のカワゴケソウ科では、幼芽が形成されず、子葉が2枚から1枚になる進化(単子葉化)が繰り返し起こっている。本研究は、幼芽の消失と単子葉化の関連を解析することで、形質の進化的な「変わりやすさ」に対する発生拘束の役割を検証することを目的としている。
カワゴロモ属の双子葉種と単子葉種の胚発生を近縁種間で比較した結果、単子葉化に関与した細胞分裂パターンの変更点を明らかにした。一方、カワゴケソウ科の基部系統であるテルニオプシス属の一部の種(Terniopsis heterostaminata、T. savannaketensis)でも幼芽が形成されず、近縁種や姉妹群のオトギリソウ科との比較から、カワゴロモ属と同様に幼芽の消失が起こっていることを明らかにした。このことは、幼芽の消失がカワゴケソウ科内で少なくとも2回独立に起こったことを示しており、胚発生自体が進化しやすくなっていることが示唆された。カワゴロモ属と同様に、テルニオプシス属においても単子葉化が起こっているのか検証するために胚形態の観察を行ったが、観察できた種の中に単子葉の胚は見つからなかった。
遺伝子解析に必要なサンプルを実験室で供給可能とするために、カワゴケソウ科の栽培条件を検討し、トリスティカ亜科の一部の種で長期間栽培することに成功した。本条件をカワゴケソウ亜科のカワゴロモ属にも適用して栽培を試みたところ、双子葉種1種で長期栽培することに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

カワゴロモ属で幼芽の消失と単子葉化の関連について解析しているが、系統的に離れているテルニオプシス属でも幼芽の消失が起こったことが明らかとなった。その一方で、テルニオプシス属では単子葉種はいまのところ見つかっていない。したがって、幼芽の消失が単純に胚発生の拘束を緩めて単子葉化を引き起こした訳ではないことが示唆され、発生拘束と形態進化の関係に関する理解が進展した。一方、海外調査の準備が整わず、種子の採取ができなかった。その一方で、栽培技術が進展し、複数の種で長期栽培が可能となった。したがって、発現解析を実施するための生きた植物体を得ることが可能となった。

今後の研究の推進方策

引き続き、カワゴロモ属内の双子葉種と単子葉種の間で胚発生の比較を行い、細胞分裂パターンの変更に共通性が見られるのか検証する。また、テルニオプシス属でも単子葉化が起こっているのか明らかにするために、液浸標本の種子を用いて子葉の枚数を観察するとともに、幼芽をもつ種ともなたい種の間で胚発生を比較し、胚発生パターンの変化の程度などを両属の間で比較する。また、カワゴロモ属の単子葉種でも栽培条件を検討し、遺伝子解析を行うための生きたサンプルを安定的に供給できる体制を整える。そして、ラオスでカワゴロモ属の種子を採集し、単子葉種と双子葉種における遺伝子発現の違いを解析する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (16件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] Missouri Botanical Garden(フランス)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] National Herbarium of Cameroon(カメルーン)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] University of Zurich(オーストリア)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] Missouri Botanical Garden(米国)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [国際共同研究] University of Zurich(オーストリア)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Comparative Morphology and Evolution of Podostemaceae Flower2022

    • 著者名/発表者名
      Kato M.; Katayama N.; Koi S.
    • 雑誌名

      Acta Phytotaxonomica et Geobotanica

      巻: 73 号: 2 ページ: 97-106

    • DOI

      10.18942/apg.202120

    • ISSN
      1346-7565, 2189-7042
    • 年月日
      2022-06-30
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Endemism and evolution of Podostemaceae in Phou Khao Khouay National Park, Lao PDR2022

    • 著者名/発表者名
      Koi Satoshi、Botanical Gardens, Osaka Metropolitan University, Katano, Osaka 576-0004, Japan.、Kato Masahiro、Department of Botany, National Museum of Nature and Science, Tsukuba 305-0005, Japan
    • 雑誌名

      Thai Forest Bulletin (Botany)

      巻: 50 ページ: 135-145

    • DOI

      10.20531/tfb.2022.50.2.13

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Characterization of the early evolution of the amphibious Podostemaceae2022

    • 著者名/発表者名
      Kato M.、Koi S.、Werukamkul P.、Katayama N.
    • 雑誌名

      Aquatic Botany

      巻: 183 ページ: 103558-103558

    • DOI

      10.1016/j.aquabot.2022.103558

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] カワゴケソウ科植物の特異な根の獲得に関する研究2024

    • 著者名/発表者名
      羽田野凌矢,Jean Paul Ghogue,加藤雅啓,厚井聡
    • 学会等名
      日本植物分類学会第23回大会(仙台)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Conservation of threatened river-weed Podostemaceae2023

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Koi
    • 学会等名
      The 10th East Asian Plant Diversity and Conservation Symposium 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Morphological studies on the seedlings of phylogenetically basal species in riverweed, Podostemaceae2023

    • 著者名/発表者名
      Ryoya Hatano, Jean-Paul Ghogue, Masahiro Kato, Satoshi Koi
    • 学会等名
      The 10th East Asian Plant Diversity and Conservation Symposium 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] カワゴケソウ科の特異な不定根の初期進化の解明2023

    • 著者名/発表者名
      羽田野凌矢,Jean Paul Ghogue,加藤雅啓,厚井聡
    • 学会等名
      日本植物分類学会第22回大会(千葉)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Anatomical perspectives on the evolution of morphology in plants2022

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Koi
    • 学会等名
      72 Congresso Nacional de Botanica
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] カワゴケソウ科における単子葉化の進化発生学的研究2022

    • 著者名/発表者名
      厚井聡,加藤雅啓
    • 学会等名
      日本植物学会第86回大会(京都)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] 大阪公立大学 研究者情報

    • URL

      https://kyoiku-kenkyudb.omu.ac.jp/html/100000226_ja.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書
  • [備考] 大阪公立大学 理学研究科・生物学専攻 植物進化適応学研究室(植物園)

    • URL

      https://www.omu.ac.jp/sci/biol-ptaxo/

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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