研究課題/領域番号 |
22K06378
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 沖縄工業高等専門学校 |
研究代表者 |
渡邊 謙太 沖縄工業高等専門学校, 技術支援室, 技術専門職員 (50510111)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | つる性 / 島嶼生物学 / island syndrome / ハワイ諸島 / 樹木化 / island syndrome 島嶼シンドローム / insular woodiness 樹木化 / liana つる性植物 / Gynochthodes ハナガサノキ属 / island dioecism 雌雄異株性 |
研究開始時の研究の概要 |
つる植物が自立する高木へと進化した例はほとんど知られていない。しかし、ハワイ諸島の固有種アカネ科のGynochthodes trimera が、つる性の同属としては異例の自立する高木(14 m)となることがわかってきた。本種は島という環境下で、つる性から高木へと進化した可能性がある。さらに、本種は両全性とされているが、実際には雌雄異株である可能性もわかってきた。 本研究では、島におけるつる性植物の高木への進化と雌雄異株化の解明を目的とする。 具体的には、G. trimera がハワイ諸島内において、つる性から自立性の高木に、両全性から雌雄異株に進化したとの仮説を検証し、その過程の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
つる植物が自立する高木へと進化した例はあまり多くは知られていない。しかし、ハワイ諸島の固有種アカネ科ハナガサノキ属のGynochthodes trimera は、つる性の同属としては異例の自立する高木(14 m)となることに気がついた。本種は島という環境下で、つる性から高木へと進化した可能性がある。さらに、本種は両性花(両全性)とされているが、実際には雌雄異株(雄株+雌株)である可能性もわかってきた。 本研究では、島におけるつる性植物の高木への進化と雌雄異株化の解明を目的とする。具体的には、G. trimera がハワイ諸島内において、つる性から自立性の高木に、両全性から雌雄異株に進化したとの仮説を検証し、その過程の解明を目指す。そのために、 1)G. trimera の自立した樹木としての実態、2)G. trimera の雌雄性、3)G. trimeraと近縁種を含めたハナガサノキ属全体の系統関係 の3点を明らかにし、G. trimera に見られる樹木性と雌雄性がいつどのような過程で進化したのかを検証する。 このうち、初年度である本年度は、COVID19の影響によりハワイに渡航できなかったこともあり、主に琉球列島と台湾に分布する近縁種であるハナガサノキのツルとしての特徴、並びに性表現の確認をおこなった。また、以前のフィールド調査で取得したハワイのG. trimera の生態的情報を整理し、解析した。さらに、一部のハワイのサンプル、さらには、ニューカレドニアに分布する近縁種の乾燥葉サンプルからDNAを抽出し、系統解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度である本年度は、COVID19の影響によりハワイに渡航できなかったこともあり、主に琉球列島と台湾に分布する近縁種であるハナガサノキのツルとしての特徴、並びに性表現の確認をおこなった。また、以前のフィールド調査で取得したハワイのG. trimera の生態的情報を整理し、解析した。さらに、一部のハワイのサンプル、さらには、ニューカレドニアに分布する近縁種の乾燥葉サンプルからDNAを抽出し、系統解析を進めている。 しかし、どうしても現地におけるデータの取得ができていないため、当初の予定よりは大幅に遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、まずニューカレドニア島の近縁種のDNAサンプリングと生育形状の確認を行う。また、1-3月頃を目安にハワイ諸島において、実際にG. trimeraの生態的調査を進める。さらに、DNAによる系統解析と祖先形質の推定を行う予定である。 具体的には、本種の樹木としての実態を明らかにし、つる植物からの進化の過程を解明するため、樹形や維管束構造、個体群構造を調査する。さらに、G. trimera が機能的に雌雄異株であるかどうかを明らかにするため、性表現を調査する。G. trimera の樹木への進化と雌雄異株化がいつどのように生じたのかを検証するため、ハナガサノキ属の分子系統樹の再構築と、集団遺伝学的解析による移入時期の推定を行う。そして、最後に希少種であるG. trimera の保全生物学的なリスク評価を行う。
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