研究課題/領域番号 |
22K06409
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
山口 幸 東京女子大学, 現代教養学部, 講師 (20709191)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 温度依存性決定 / 遺伝性決定 / 温度センサータンパク質 / 雄化誘導遺伝子 / 内分泌調節 / 環境応答 / 浸透圧調節 / 塩類細胞 / 共生 / 環境適応 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの行動生態学や生活史戦略の理論では、生態的・社会的環境に対する適応を自然淘汰で説明する際に、生理的制約や分子的/生理的機構を無視することが多かった。そこで本研究では、幅広い分類群を対象に、分子的/生理的機構を取り入れて、生態的、物理的、社会的環境の変化への適応的応答を理解する進化生態学の新しいパラダイム確立を目指す。対象として陸上動物や植物を含め、性に限らずより一般の形質を扱う。具体的には、次の3つの課題:[1]淡水と海水を行き来する魚の浸透圧調節の塩類細胞タイプ組成、[2]爬虫類における温度依存性決定のメカニズム、 [3]植物と微生物の共生が成立する条件、について集中的に取り組む。
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研究実績の概要 |
本研究では、幅広い分類群を対象に、分子的/生理的機構を取り入れて、生態的、物理的、社会的環境の変化への適応的応答を理解する進化生態学の新しいパラダイム確立を目指す。今年度は「爬虫類における温度依存性決定のメカニズム」について4年生1名とともに取り組んだ。爬虫類の多くは、母親が卵を産み落とした場所の温度で、孵化時に性別が決まる。4年生が興味をもった「フトアゴヒゲトカゲ」は性染色体によって性が決まる(遺伝性決定)が、高温で飼育すると遺伝的雄が雌に表現型を変えることが知られている。研究代表者は、温度性決定について、性ホルモンとアロマターゼ遺伝子の発現に注目して酵素反応系を考慮し、温度によって酵素反応の速さが変わるときに、雄性/雌性ホルモンの相対量が変化するため、性ホルモン量の多い性に分化するというモデルをすでに解析している(Yamaguchi & Iwasa 2018, 若手研究(B)16K18624の成果)。この研究経験を活かして、本研究では最近発見された温度性決定にかかわる温度センサーチャネルに注目した。ワニにおいて、高温で反応するTrpv4タンパク質が雄になる温度を受容すると、精巣をつくる遺伝子発現が活性化され、雄の性を誘導することがわかっている。またカメでは逆に低温で反応するチャネルがあるということが予測されている。そこで、カメが持つと予測されている低温感知センサータンパク質がフトアゴヒゲトカゲにも存在すると「仮定」して、遺伝性決定と温度性決定の両方を維持するメカニズムを明らかにするモデルを作成し、解析した。その結果、高温領域における「低温感知センタータンパク質による雄化誘導遺伝子の不活性化」と「雌性ホルモン生成速度が上がるメカニズム」の両方が存在することで、フトアゴヒゲトカゲの遺伝的性(雄)から表現型としての性(雌)への転換の実現が説明できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度(2022年度)の報告書において、今度の研究の推進方策として掲げた研究の1つを遂行することができたため。今後は学会での研究成果の発表と原著論文作成を行う。
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今後の研究の推進方策 |
[1] 淡水と海水を行き来する魚の浸透圧調節の塩類細胞の最適組成モデル(内分泌調節と個体の環境応答をつないだモデル、2022年度行った研究)を完成させ、数理的解析を終えて、原著論文にまとめることを目指す。 [2] 爬虫類における温度依存性決定のモデルにおいて、温度センサーチャネルの働き方が高温感知の場合についてもモデルを展開し、未発見の爬虫類の温度性決定を予測することを目指す。また今年度(2023年度)の成果と合わせて、原著論文にまとめることを目指す。
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