研究課題/領域番号 |
22K06416
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45050:自然人類学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
森田 航 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究員 (20737358)
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研究分担者 |
山中 淳之 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 准教授 (80343367)
目加田 和之 岡山理科大学, 理学部, 教授 (90360651)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 歯 / 遺伝子型-表現型マッピング / スンクス / QTL解析 / GWAS / 量的形質遺伝子座(QTL)解析 / 歯種 / 人類進化 / 形態解析 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトを含め多くの哺乳類は、4つの異なる歯種(切歯・犬歯・小臼歯・大臼歯)を持ち、人類進化の過程でそれぞれの歯種の形は様々に変化してきた。しかし、この進化上重要な歯の形態的変異の発生遺伝学的な要因は明らかではなかった。そこで本研究はヒトと同様に4つの歯種を持つスンクスを対象に量的形質遺伝子座(QTL)解析を行い、形態変異をもたらす歯種ごとの遺伝的基盤を解明を目指す。歯の形態変化を生じさせたミクロな発生遺伝学的要因と、マクロな進化イベントとを関連付けることで、より包括的な人類進化史の理解が可能となる。
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研究実績の概要 |
2023年度はF0世代であるカトマンズ系統と、長崎系統から作出したF1世代を用い、さらに、同家系のF1世代同士を交配させたF2世代のスンクスの作出を進めた。年度内にF2世代で203個体の作出に成功した。計画では210個体のF2世代の作出を予定していたため、順調にF2世代の作出は進行していると言える。各歯種の形態のシェイプバリエーションを定量化するため、未咬耗なままの状態に歯の形態を保つために、生後16日齢でF2個体をサンプリングした。筋組織からゲノムDNAを抽出し解析を進めたが、本標本群は、骨格標本と共に仮剥製標本も同一個体のデータを取得することが可能である。そこで、可能な限り他の表現型についてもデータの定量化が可能か検討を行った。分析の基礎となるゲノムデータについてはライブラリ作成を行い、参照配列に対しマッピングし、表現型との関連を解析した。具体的には、歯のシェイプやサイズについては形態地図法で定量化すると共に、特定の歯種(上顎第3切歯と第3小臼歯)の有無については、骨格標本をμCT撮影し得られた画像から3次元モデルの再構築を行い解析を進めた。予備的な解析ではあるが、得られた個体を用いてゲノムワイド関連解析(GWAS)、並びに、量的形質遺伝子座(QTL)解析を行った。その結果、多くの表現型について、歯の正常な発生に必須な遺伝子や、歯のパターニングに用いられるシグナル伝達経路関連遺伝子、体の成長に関与する遺伝子やシグナル伝達経路関連遺伝子などが候補として有意な相関が見いだされた。これらの予備的な解析結果は、次年度には国内外の学会において発表していく予定である。さらに、計画では次年度早々には予定していたF2個体の作出が終了しそうであるので、研究リソースを解析へと傾けていく予定でいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解析に必須となるF2世代の作出は安定的な供給体制により、当初の計画通りの個体数をほぼ揃えることができたこと、また、昨年度に確立したゲノムデータと形態データの取得と関連解析までの一連のパイプラインのさらなる高速化と洗練がなされた。今後はサンプル数を確定し、他の表現型についても解析可能な、より確度の高いデータセットへと洗練させていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
F2世代のスンクスの作出については、今年度の前半で終えることができると考えている。研究の残り期間においては、標本づくりとともに、3次元データの取得と再構築、並びにゲノムデータ取得に注力することができる。本研究により構築可能となったデータセットは、仮剥製・骨格標本・ゲノムデータ・3Dデータ、同一個体において相互に参照可能な稀有なデータセットであるため、今後データベース登録と利用価値を高める活動も推進していきたい。また、家系や世代が既知であるゲノムデータは非常に希少なため、連鎖地図やマーレイマップを用いて、スンクスゲノムの参照配列の質にも今後貢献すべく、参照ゲノム配列の整備など、関連する研究基盤の整備も進めていきたい。さらに様々な表現型の取得が可能となったため、genome-phenomeの関連を総体的に解析できるような進化モデルとしてのスンクスの可能性を探っていきたい。
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