研究課題/領域番号 |
22K06428
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
鈴木 龍雄 信州大学, 医学部, 特任教授 (80162965)
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研究分担者 |
田渕 克彦 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (20546767)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | PSD / PSD lattice / structure / tubulin / microtubule / synaptic plasticity / synaptogenesis / structural plasticity / シナプス後肥厚部 / 可塑性 / シナプス構造 |
研究開始時の研究の概要 |
シナプス後肥厚部 (PSD)のサイズや構造変化は、シナプス可塑性発現を大きく支配する。しかし、多数の構成タンパク質分子群がどのように集合して巨大タンパク質複合体PSD が形成されるのか、またシナプス可塑性発現に関わるPSDの変化の仕組みは不明である。申請者は、PSDの基本骨格と考えられる PSD lattice構造の精製に成功し、新しいPSD 分子構築モデルを提唱した(2018,2021)。さらに、 PSD lattice構造の内部構造として PSD lattice backbone構造を発見した。本計画では、PSD lattice を介するPSDの形成や可塑的構造変化の仕組みを明らかにする。
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研究実績の概要 |
申請者らが確立した精製法によって得られたPSD lattice (以下 PSDL)を用いて、 PSDの構造可塑性のメカニズム解明を目指した。PSDに内在するtubulinが関与して LTP発現に関わっている可能性の検証を進めた。 PSDにおけるtubulinの存在形態は微小管ではないことは申請者らが明らかにしているが、その具体的生理機能は不明のままである。PSDにはLTP発現時に一過性にspine headに侵入する微小管が接触すると想定されている。本計画では、まずこの一時的な PSD-微小管相互作用に PSDL tubulinが関与している可能性の検証を目指した。まず、in vitroでのPSDLと tubulin/microtubule 相互作用系を構築した。 電顕用グリッドに貼った formvar膜にPSDLを固定し、 tubulin重合中の液滴と接触させて、経時的にサンプルを固定し、ネガティブ染色後、観察を行った。その結果、PSDLが 形成されつつある微小管と接触している詳細な電顕画像が得られた。また、精製 tubulin標品中に PSDL様の構造が生じていること、それが微小管と PSDLと類似の相互作用を行っていることが明らかになった。このことは、外部 tubulinとの相互作用において PSDL内 tubulinが中心的な役割を担っていること示唆するものである。さらに、PSDとtubulin との相互作用についても解析を行い、 PSDL同様の対tubulin相互作用を行っていることが明らかになった。以上の結果は、tubulinが主体となって形成される特殊骨格PSDLが PSDの構造基盤となっているという申請者らの主張と矛盾しないことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PSD lattice(PSDL)と tubulinの相互作用を、電子顕微鏡画像として捉えることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
PSD lattice (PSDL)の分子構築についてさらに研究をすすめ、 PSD の生体内での構築の仕組み、シナプス可塑性発現時における PSD構造のダイナミックな変化の仕組みについて分子レベルで追求してゆく。とりわけ、 PSD に内在するtubulinの生理的機能の役割の解明を進める。この大きな目標に向けて、研究を進める過程で新たに着想したアプローチを随時取り入れて研究を進める。論文発表は、申請内容全体をカバーする研究成果をまとめる予定だが、新たな発見のプライオリティーなどを侵害されない状況のもとで可能であれば、段階的に結果を学会発表などで発信する。
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