研究課題/領域番号 |
22K06429
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
守村 直子 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (00349044)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | シナプス接着分子 / グリオーマ / シナプス形成 |
研究開始時の研究の概要 |
悪性脳腫瘍グリオーマは、進行が早く治療抵抗性の高い極めて予後不良な腫瘍である。近年、神経細胞とグリオーマ間を直接つなぐ興奮性シナプスが発見され神経活動がシナプスを介して直接グリオーマの増殖・浸潤を増悪ことが明らかになった。神経細胞間のシナプス形成やシナプス伝達にはシナプス接着分子の役割が重要とされているが、神経細胞とグリオーマ間のシナプスに存在するシナプス接着分子やその働きについては不明である。本研究は、神経細胞-グリオーマ間でシナプス形成や腫瘍悪性化を誘導するシナプス接着分子の存在を明らかにし、グリオーマ悪性化の分子機序の解明と脳腫瘍に対する新規分子標的薬の可能性を探る。
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研究実績の概要 |
グリオーマは、進行が早く治療抵抗性の高い予後不良な悪性脳腫瘍である。近年、神経細胞とグリオーマ間で行われるシナプス伝達がグリオーマの悪性化を増強することがわかってきた。しかし、神経細胞とグリオーマ間を繋ぐシナプス接着分子や悪性化を誘導する分子群の役割については未だ不明な点が多い。本研究は、正常神経細胞間のシナプス形成やシナプス伝達を制御することが知られているポストシナプス接着分子LRFNファミリーを中心に、神経細胞とグリオーマ間のシナプス分子制御機序を明らかにすることが目的となっている。
2023年度は、患者由来グリオーマ幹細胞株の培養系を用いて、血清中の液性因子、EGFやFGF成長因子群、細胞外マトリックスなどのグリオーマ分化刺激に対するLRFN2の発現プロファイルを調べると同時に、過剰発現によるグリオーマ細胞の形態変化を観察した。その結果、LRFN2過剰発現グリオーマ細胞は突起伸長の形態を示し、さらに細胞表面には多くの棘突起が観察され、その棘突起先端にはLRFN2が集積していることが分かった。同時に、これらのLRFN2細胞表面集積部には、内因性のPSD-95やNMDA受容体サブユニットNR2Bが共局在することが分かった。このことから、LRFN2はグリオーマ細胞においても興奮性シナプス分子と共役して機能する可能性が示唆された。本年度の研究結果は、学内シンポジウムや学会等にて報告し、引き続き、PiggyBacトランスポゾン・ベクターシステムを用いてin vivo解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LRFN2強制発現グリオーマ細胞では、顕著な形態変化が観察された。本研究の目的であるニューロンとの接合部を観察する上で有効な形態であり、またシナプス形成の形態的変化とシナプス機能、集積分子との関係を証明することができる可能性が示された。
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今後の研究の推進方策 |
LRFN2及びLRFN2変異発現ベクターを用いて、ニューロンとグリオーマの共培養下におけるシナプス分子の集積と電気生理学的なシナプス伝達を調べる。またLRFN2強制発現グリオーマ細胞をマウス脳へ移植し、in vivo腫瘍形成とニューロンとの接合におけるLRFN2の役割を評価していく計画である。
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