研究課題/領域番号 |
22K06431
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
森田 光洋 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (50297602)
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研究分担者 |
塚本 寿夫 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (90579814)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アデノシン / AQP4 / 光遺伝学 / ホログラフィック顕微鏡 / カルシウムイメージング / 神経活動 / グルコース代謝 / 生体イメージング / アストロサイト / 水チャネル / 多光子顕微鏡 / 精神疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
アストロサイトが放出したATPは細胞外でアデノシンに分解され、アデノシン受容体を介して神経活動や脳血流に影響を与える。申請者は先行研究において、アストロサイトの終足(endfoot)に局在する水チャネル(AQP4)依存的なATP/アデノシン放出を見出した。本研究では「神経活動に伴いグルコース消費が亢進すると、アストロサイトでは血流からのグルコース取みと共役したAQP4依存性の水流入が増加し、これに伴いATP/アデノシンが放出される。」との仮説を立て、これをin vivo イメージングと光遺伝学により実証することを目指す。これにより神経活動とエネルギー代謝の恒常性を維持する機構が解明される。
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研究実績の概要 |
独自に開発したアデノシンに対するバイオセンサーを用いて見出されたAQP4依存的なアデノシン放出は、神経活動に伴いアストロサイトのAQP4を介した水の動態が誘導されることを示唆している。本研究では、2光子ホログラフィック顕微鏡を中心に神経活動に伴う水動態と、これに関連したアデノシン放出の可視化を試みている。本年度は、これまでの研究で明らかになった2光子蛍光イメージングに伴うオプシンの活性化、いわゆるクロストークの問題に焦点を当て、この解決に取り組んだ。具体的には、一般的に広く用いられているGCaMPと赤色にシフトしたChRmineなどのオプションの組み合わせにおいて、GCaMPのイメージングに伴うオプションの非特異的な活性化を確認した。この非特異的活性化を回避するために、蛍光タンパク質とオプションの吸収波長が逆になるRCaMPとeTsChR2の組み合わせを検討したところ、1光子励起のRCaMPイメージングはオプシンの非特異的な活性化を引き起こさず、オプシンの応答が検出され多一方で、2光子励起ではオプシンの応答が消失した。これは RCaMPのIsosbestic pointにおける蛍光がGCaMPなどよりも大きいためであると考え、RCaMPの1光子吸収波長(約560 m) から推定される2光子吸収波長1120 nmよりも長い波長におけるイメージングを検討した。その結果、1200 nmでeTsChR2の応答が回復することが明らかとなった。これは励起波長を最適化することで、クロストークの影響を受けないall optical physiologyが可能であることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の研究により、光遺伝学刺激とカルシウムイメージングを同時に行うall optical physiologyでは、イメージングに用いる励起光が、オプシンを活性化してしまう、いわゆるクロストークの問題があることが明らかになった。本年度はこの問題に焦点を当てて、検討を行うことにより、クロストークの影響を回避する技術的な進展が見られた。しかしその一方で、水の動態とアデノシンを可視化するという、本来の目的が大幅に遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度達成した、クロストークの影響を受けないall optical physiologyの手法を活用し、研究計画の中心である、AQP4依存的なアデノシン放出の背景にある、神経活動に伴う水動態の変化の実体を解明するとともに、そのメカニズムを明らかにする。
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