研究課題/領域番号 |
22K06432
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
高橋 弘雄 香川大学, 医学部, 講師 (20390685)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 脳梗塞 / 神経保護メカニズム / Npas4 / 神経細胞死 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、脳梗塞による神経回路の破綻を防ぐ内在性の神経保護メカニズムに着目して、その制御機構を解析する。最近、申請者らは、深夜にマウス脳梗塞モデルを作製すると、昼過ぎの場合と比較して、細胞死が顕著に減少することを見出している。そこで、脳梗塞の発症時間や、時計遺伝子の発現に注目して、脳梗塞に伴う細胞死や、内在性の神経保護メカニズムへの影響を解析する。
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研究実績の概要 |
脳梗塞は、本邦で死因の上位を占める発生頻度の高い疾患である。脳梗塞に伴う細胞死を防ぐことが、治療の重要なポイントとなっている。脳梗塞について、発症後の脳内の変化を研究することは、効果的な治療法の開発のために、極めて重要なポイントである。これまでに本研究代表者らは、脳梗塞の発症に伴い、内在性の神経保護メカニズムが活性化して、神経細胞死を抑えることを明らかとしている。このような神経保護メカニズムがどのように活性化するのか?という点を明かとして、人為的に調節することが可能となれば、新たな脳梗塞の治療法に繋がると期待される。そこで本研究は、脳梗塞による神経回路の破綻を防ぐ内在性の分子メカニズムの制御機構を解析する。 これまでに本研究代表者らは、健常な脳において、神経活動依存的に神経細胞の発達を促進する分子メカニズムの研究を行った。興味深いことに、健常な脳で、神経細胞の発達を促進する転写因子Npas4は、脳梗塞後の大脳皮質では、梗塞巣の拡大を防ぎ、予後の運動機能を保つ役割を果たすことを報告している。さらに昨年度の研究から、大脳皮質におけるNpas4の発現が、昼間と夜間とで変動することを見出した。そこで本年度は、脳梗塞に伴う細胞死が概日リズムによる影響を受けるのか?という点について解析を行った。脳梗塞モデルマウスを用いた解析から、昼間に脳梗塞を発症した場合と比較して、夜間に脳梗塞が起こった場合には、神経細胞死が有意に減少することが明らかとなった。この結果は、脳梗塞に対する内在性の神経保護メカニズムの働きが、概日リズムによる調節を受ける可能性を示唆している。そこで今後は、この概日リズム依存的な神経保護メカニズムに着目し、Npas4の役割を明らかとする。Npas4欠損マウスを用いて、初代培養ニューロンや、脳梗塞モデルマウスを用いて、さらに詳細に検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の脳梗塞モデルマウスを用いた解析から、昼間に脳梗塞を発症した場合と比較して、夜間に脳梗塞が起こった場合には、神経細胞死が有意に減少することが明らかとなった。この結果は、脳梗塞に対する内在性の神経保護メカニズムの働きが、概日リズムによる調節を受ける可能性を示唆しており、脳梗塞から脳を守る分子メカニズムの制御機構を明らかとする上で、大きな成果である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、概日リズムによる神経保護メカニズムの調節に着目し、Npas4の役割を解析していく。Npas4欠損マウスを用いて、初代培養ニューロンや、脳梗塞モデルマウスを用いて、さらに詳細に検討していく予定である。
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