研究課題/領域番号 |
22K06434
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
|
研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
柴崎 貢志 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (20399554)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 脳内温度 / アストロサイト / TRPV4 / 温度 / TRP チャネル / グリア / 脳機能 |
研究開始時の研究の概要 |
脳温は外部環境によらず、ある程度一定に保たれることが報告されている。これまでは、脳ラジエター仮説に基づき、温まった脳内を血流循環で放熱し、脳平均温度を一定に保つと信じられてきた。しかしながら、果たしてこれは真実であろうか?熱を吸収できる細胞が存在し、これらの細胞群と血流循環・放熱の相乗作用で脳温を保つということはないのか?この疑問点を細胞レベルの温度分布可視化技術を用いて明らかにする。
|
研究実績の概要 |
温度は様々な生理機能に影響を与える生体の恒常性維持において、最も重要な因子の一つである。申請者は脳局所ごとに他領域よりも1-2℃高い領域が存在することも見いだした(J. Neurosci. 2018a, 2018b)。これらの知見より、世界で初めて脳内には特殊な温度不均一性が存在することが示された。しかしながら、温度不均一性がどのように産み出されるのか?とその存在意義が不明のままである。 この疑問を解き明かすために、培養ニューロン、アストロサイトをWTマウスから調製し、それらの細胞を生理学的温度(37℃)にインキュベートした際に1細胞内の温度分布がどのような局在を示すのかを解析・比較した。ニューロンは全てが均一な温度動態であった。一方、アストロサイトでは、冷たい細胞集団が全体の50%程度存在していることを明らかにした。 これまでは、脳ラジエター仮説に基づき、温まった脳内を血流循環で放熱し、脳平均温度を一定に保つと信じられてきた。しかしながら、果たしてこれは真実であろうか?熱を吸収できる特殊な冷たいアストロサイトが存在し、これらの細胞群と血流循環・放熱の相乗作用で脳温を保つという可能性が浮かびあがった。 本年度の研究知見の着目すべき点は、環境温度(=体温)よりも冷たいアストロサイトが存在する点である。発熱を血流循環・放熱するだけで、脳冷却が本当に可能なのであろうか?今回見出された冷たいアストロサイトが脳内で特殊吸熱源となっており、これらの特殊生理作用の総アウトプットとして、脳が効果的に冷却され、一定の脳温が保たれる可能性が高い。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画に掲げていた通りに実験を遂行出来ている。1細胞レベルで温度分布を可視化するシステムを駆使して研究を進行出来ている(Nature Commun 2012, J. Neurosci. 2018a)。この系では、fluorescent polymeric thermometer (FPT)を培養細胞や脳スライス標本に取り込ませた後で2波長蛍光イメージングを行い、インキュベーション温度に対する検量線を元に細胞内部の温度を0.02℃の精度と40 nmの解像度で解析が可能である。また、この研究から生命科学領域にインパクトを与える新たな知見を多数見出している。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、脱共役剤・FCCPを投与した際の細胞レベルの温度変化を測定する予定である。さらに温度イメージングで冷たいアストロサイトを同定後、マニュピレーターでガラス電極を操作し、細胞内にAlexa568色素を注入しラベルする。そのラベル化細胞を用いて、グリコーゲン染色、ミトコンドリア染色を行い、冷たいアストロサイトでその量に違いがあるのかを調べる。シングルセルDNAマイクロアレイ解析も行う。これらの実験から、冷たいアストロサイトが有する特異的な特徴を同定する予定にしている。
|