研究課題/領域番号 |
22K06437
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
田中 宏喜 京都産業大学, 情報理工学部, 教授 (40335386)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 光遺伝学 / 抑制神経回路 / 空間周波数チューニング / チューニングダイナミクス / マウス / 第一次視覚野 / 抑制回路 |
研究開始時の研究の概要 |
マウス第一次視覚野の空間周波数チューニングの最適化における抑制回路の役割を検証する。光照射により細胞を不活性化するハロロドプシンを、抑制細胞であるPV細胞あるいはSOM細胞に選択的に発現させる。様々な空間周波数のサイン波画像のフラッシュ呈示をおこなったときの空間周波数チューニング曲線の時間経過を計測する。各抑制細胞を不活性化した条件でのチューニング曲線と、コントロール条件でのチューニング曲線を比較し、チューニング曲線のピークや幅の違いを分析して、各細胞種の抑制入力の役割を同定する。細胞活動は多点電極で記録することで、皮質層による差異なども検証する。
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研究実績の概要 |
本研究は、光遺伝学的手法を用いて、皮質細胞の視覚特徴チューニング形成における抑制神経回路の役割を細胞種ごとに解明することを目的としている。今年度は、まずマウス電気生理学システムのセットアップを行った。申請時点では、強い視覚応答を得るため覚醒動物を用いることを考えたが、受容野の精密計測を行うには、動物を長時間の拘束することが必要で、動物を麻酔下に置くほうが適していると考え直した。そこで、急性麻酔下の野生型マウスから空間周波数チューニングを計測し、麻酔下でも十分な振幅のあるチューニングカーブが計測できるかを検証した。数匹の動物を用いて実験を行い、はっきりとしたローパス型、バンドパス型の空間周波数チューニングを示す細胞データを取得でき、麻酔下でも本研究の仮説検証が可能であることを確認した。光遺伝学のための光照射システムも購入し、そのセットアップも概ね完了している。 交付された直接経費が申請額の65%程度であり、また輸入品の価格が急激に高騰したため、米国より輸入予定の2種類のマウス(PV-Creマウス,SOM-Creマウス)の購入が困難となった。そこで、PV-Creマウスを用いた研究は計画通り実施するが、SOM-Creは用いず、その代わりとして、国内研究機関から入手できるGAD67-Creマウスを使用するよう計画変更した。後者はGABA作動性抑制細胞全体でCreを発現したもので、このマウスを用いて皮質抑制回路全体を遮断したときと、PV-Creマウスを用いてPV抑制回路のみを遮断したときとで視覚応答を比較し、PV細胞種とそれ以外の抑制回路の役割を比較検討していく。GAD67-Creマウスは現在個体作成中で、まもなく納入予定である。入手した遺伝子改変マウスを系統維持していくためには、遺伝子検査が必要であるが、それを行うための機器やキットの準備を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述の予定の変更のため、準備に時間がかかり、最初の計画よりも研究全体の進行はやや遅れている。しかし、遺伝子改変マウスの準備以外のセットアップは概ね完了したので、マウスの準備が出来次第、細胞データ取得実験を開始すれば、令和5年度の計画分は実施できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
GAD67-Creマウスは7月中に搬入する予定である。マウス抑制細胞へのハロロドプシン遺伝子の導入は、申請時点ではウイルスベクターの使用を予定していた。しかし安全面を考慮して、この遺伝子をもつ遺伝子改変マウス(ハロロドプシンマウス)とCreドライバーマウスを交配する方法をとることにする。ハロロドプシンマウスは国内のバイオリソースセンターより5月中に入手する見込みである。 上記のマウスから本実験用のマウスの1つ(Gad67 x ハロロドプシンマウス)を8月中に作成し、その後、細胞データ計測実験を開始していく予定である。光照射用のファイバーと記録電極を刺入して、脳光照射により抑制回路を遮断したときに、細胞のチューニングがどのように変化するのかを調べる、数匹の動物から計測実験を行うとともに、データ解析をおこなって、抑制回路の役割に関する仮説の基本的な検証を令和6年の3月までに行う。これと並行して、PV x ハロロドプシンマウスの作成もおこなっていく。
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