研究課題/領域番号 |
22K06441
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
三井 真一 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (20295661)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | ペアボンド / 受動回避試験 / オキシトシン / 社会相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、人と同様に一夫一婦制を呈するプレリーハタネズミを材料に、恐怖条件付け時のペアボンド群と対照群のcFos陽性細胞を比較して介在する脳領域を特定する。オキシトシン受容体に対する薬理学的解析によって当該脳領域のニューロンの性状を明らかにする。恐怖条件付け時に同種他個体が存在すると恐怖反応が減弱する社会的緩衝作用と異なり、解析する現象はペアボンドすれば条件付け時に同種他個体の存在は必要ない点で新規な現象である。本研究成果は、社会的相互作用による可塑的な神経回路の変化が行動の変容を引き起こす機構を明らかにし、恐怖記憶が増強する種々の精神疾患への対処法開発の基盤を与える。
|
研究実績の概要 |
他者の存在はストレス応答を減弱させるなど、他者との社会的関係が健康状態に重大な影響を与える事が知られているが、この神経機構については不明な点が多い。動物モデルを用いた研究では、一夫一婦制を呈するプレーリーハタネズミの雌雄が交配関係にあると、電気ショックとそれを受けた場所との条件付け恐怖学習がオキシトシン依存的に減弱することが見いだされている。プレーリーハタネズミはつがいを形成(pair bond)すると、視床下部室傍核でのオキシトシンや側座核でのオキシトシン受容体の発現が増加することが知られており、pair bondによるオキシトシンシグナルの強化が恐怖学習の減弱に関与していると予想される。 本研究では、プレーリーハタネズミをつがい形成した群(pair bond群)と同性の2匹で飼育した群(cage mate群)とに分けて、受動的回避試験における恐怖条件付けを行った。神経活動の指標となるcFosの発現を指標とし、cFos陽性細胞数の群間比較を行うことで、恐怖学習に対して異性間社会相互作用が影響を与えている可能性がある脳領域の特定を試みた。また、メス個体はエストロゲンによる恐怖学習への影響について条件を揃え、雌雄差の影響も検討を行った。結果として、恐怖学習時の各群における視床下部室傍核、前帯状皮質、下辺縁皮質、中隔野腹側部のcFos陽性細胞数は、同居個体と性別との影響に有意差が認められなかった。しかし、各脳領域におけるcFos陽性細胞数の相関では、メスの視床下部室傍核と中隔野腹側部との間にcage mate群では強い正の相関が見られたのに対し、pair bond群では負の相関傾向が認められた。一方、オスでは視床下部室傍核と中隔野腹側部との間に強い正の相関がpair bond群のみに認められた。 本研究結果より、Pair bondを形成することによる脳内の神経機構の変化に雌雄の違いがあり、恐怖学習に対する神経活動が雌雄によって異なった可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ペアボンド群とケージメイト群に対して恐怖学習を行った後の脳の活性化状態をcFosの免疫染色によって解析し、予定通りに進呈している。
|
今後の研究の推進方策 |
さらに脳領域を広げてcFosによるマッピングを実施し、群間債のある領域についてはcFos陽性細胞の正常についても明らかにしていく。
|