研究課題/領域番号 |
22K06445
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
|
研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
坂井 謙斗 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任助教 (30646352)
|
研究分担者 |
小泉 修一 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10280752)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | ミクログリア / 脳マスト細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は「末梢炎症反応に脳内マスト細胞が応答し、ミクログリアが活性化される」という仮説を in vivo イメージングにより証明することである。 2 光子顕微鏡を用いた脳内マスト細胞-ミクログリア in vivo 同時イメージング法を開発し、両細胞の解剖学的および機能的解析を行う。両細胞間の相互作用は、それぞれの細胞を薬理学的および分子生物学的に制御することで明らかにする。本研究により「脳内マスト細胞ミクログリア連関」という脳疾患早期の新たな分子病態の解明が期待できる。
|
研究実績の概要 |
申請者の研究グループは、慢性疼痛およびてんかんなどの病態マウスモデルにおいて、環境変化に敏感なミクログリアが早期に活性化し、それがアストロサイトに伝わることで疾患が進展することを報告してきた。しかし、ミクログリアがどのように環境変化を察知しているのかは不明な点が多い。最近、免疫細胞マスト細胞が脳内にも存在し、脳内外の炎症早期に early responder として反応し、これをミクログリアに伝えることで、脳内炎症のトリガーとなる可能性が示唆された。そこで本研究では「末梢炎症反応に脳内マスト細胞が応答し、ミクログリアが活性化される」という仮説に基づき、これを in vivo イメージングを中心に様々なイメージング手法を用いて証明する。 初年度に作製した、マスト細胞およびミクログリア両細胞を遺伝的に可視化できるマウスの脳を、脳透明化技術およびライトシート顕微鏡を用いて、3D画像解析を行ったところ、脳の特定領域にマスト細胞が局在していることを見出した。また in situ 実験を用いて、マスト細胞の機能を薬理学的に調節したところ、ミクログリアのプロセスが反応していることを観察した。本結果は、脳内マスト細胞がミクログリアに影響を与えている可能性を示唆する。今後は、構築したin vivo ライブイメージング法を用いて、両細胞の解剖学的および機能的解析を行っていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度、マスト細胞にtdTomatoを遺伝的に発現するマウスを作製し、マスト細胞の可視化に成功した。さらにこれをミクログリアの可視化が可能なCX3CR1-GFPマウスと掛け合わせることで、マスト細胞およびミクログリア両細胞の可視化が可能となった。本マウスを用いて、下記の種々のイメージング解析を行った。 脳の透明化・3D解析:脳の透明化技術およびライトシート顕微鏡を用いて、脳マスト細胞の局在を調べた。既報の通り、脳内マスト細胞は海馬、視床、視床下部に局在していることを観察した。加えて、脳の特定の領域選択的に局在していることも見出した。 In situ実験:マウス脳スライスを用いて、マスト細胞の機能を薬理学的に調節したところ、ミクログリアのプロセスが反応していることを観察した。脳内マスト細胞がミクログリアに影響を与えている可能性を指示するデータが得られた。 In vivo ライブイメージング:マウスの頭蓋骨に cranial windowを作製し、2 光子顕微鏡を用いた in vivo ライブイメージング法を導入した。
|
今後の研究の推進方策 |
導入した in vivo ライブイメージング法を用いて、脳内マスト細胞およびミクログリアの同時イメージングを行い両細胞の解剖学的および機能的解析を行っていく。またscRNAseqなどの遺伝子解析も検討しており、脳内マスト細胞の単離方法などを確立する予定である。
|