研究課題/領域番号 |
22K06450
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
藤島 和人 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (20525852)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 樹状突起 / ニューロン / 形態形成 / プルキンエ細胞 / スペクトリン |
研究開始時の研究の概要 |
スペクトリンは細胞の力学的な安定性を担う膜骨格分子として知られる。神経突起ではアクチンと協調して反復性のはしご状構造を形成し突起を保護する。強固な膜骨格構造は発生期ニューロンの突起の持続的な進展を阻害する。進展を可能にするためには膜骨格を一時的かつ局所的に破壊・再生する神経特有の膜骨格リモデリング機構が必要である。本研究では培養ニューロンのイメージング解析によって膜骨格リモデリングの分子メカニズムを明らかにし、神経突起の保護と成長を両立する仕組みの一端を明らかにする。
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研究実績の概要 |
スペクトリンやアクチン骨格は軸索・樹状突起といった神経突起で膜骨格を形成する。この膜骨格の役割について十分な知見はないが、神経突起を物理的に保護することや、様々なシグナル分子の足場となることが報告されている。神経突起を物理的に保護しうる膜骨格は成長時に進展を阻害する可能性がある。本研究ではこの膜骨格が樹状突起の成長に際してリモデリングすることで進展に伴い蓄積されるひずみを解消しているのではないかと仮説を立てている。 申請者は神経活動や、細胞膜や骨格に加わる張力自体に端を発するシグナルがアクチン骨格の脱重合などを通じて膜骨格のリモデリングを促進すると予想している。本年度は小脳プルキンエ細胞をモデルとして樹状突起の進展時に生じる膜骨格のリモデリングの分子機構を明らかにすることを目指した。 分子メカニズムの解析や膜骨格構造の可視化には、申請者がこれまで使用してきた初代培養を用いることを計画していた。しかし所属を変更したなどからの理由で培養の条件が変化したため、再度条件検討を行った。この条件検討に時間を取り、予定した実験が遅れた。この間に膜骨格を破壊する可能性のある分子の発現を阻害するノックダウンベクターを作成した。またこれらを細胞に導入するためのアデノ随伴ウイルスベクターを作成する実験系を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
スペクトリンやアクチンを構成要素とする膜骨格は約190nmの周期をもつはしご状構造や網目状構造を形成することが知られている。本研究では神経活動や細胞内外で生じる物理的な刺激が膜骨格をリモデリングするのに関与しているのではないかと考えている。本研究を推進するには、膜骨格を超解像度顕微鏡で観察する必要があり、そのためには神経細胞の初代培養を行う必要があった。申請者はこれまでに初代培養を行っていたが、所属を代わり条件が変わったため、改めて培養に最適な条件を探す必要があった。本年度は条件検討に時間がかかり、予定した計画より遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
R4年度までに確立した初代培養系を用いて、神経活動が膜骨格のリモデリングを促進する可能性をまず検討する。高カリウムで神経活動を亢進した状態、または阻害剤を用いて神経活動を低減した状態でプルキンエ細胞を固定し、樹状突起における膜骨格のパターンを超解像度顕微鏡で観察する。さらにリモデリングに関わる分子の探索を行う。候補分子のノックダウンベクターを細胞に導入し、アクチンやスペクトリンの形成する膜骨格の微細構造を観察し、膜骨格の維持に与える影響を調べる。 神経突起の保護のため膜骨格が引き延ばされるのを制限する仕組みも必要だと考えられる。スペクトリン-アクチン膜骨格は樹状突起の膜直下で網目状構造を形成している。この網目がアクトミオシンと相互作用し、収縮することで強力に樹状突起を保護する可能性がある。アクトミオシン阻害下で膜骨格構造のパターンを超解像度顕微鏡で調べる。
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