研究課題/領域番号 |
22K06461
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46020:神経形態学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
深谷 昌弘 北里大学, 医学部, 准教授 (10360900)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ペリシナプス / 代謝型グルタミン酸受容体 / 海馬 / 興奮性シナプス / 遺伝子欠損マウス / Arf6 / サイトへジン2 / シナプス可塑性 / サイトへジン / Arf6 |
研究開始時の研究の概要 |
記憶や学習などの高次脳機能の基盤となるシナプス可塑性には、興奮性シナプスのペリシナプス領域に集積する代謝型グルタミン酸受容体(mGluR1/5)が重要な役割を担っている。しかしながら、mGluR1/5のペリシナプス集積機構は不明な点が多く残されている。本研究では、Arf6の活性化因子で、mGluR5と複合体を形成するサイトへジン2に着目し、サイトへジン2-Arf6シグナル伝達経路による小胞輸送制御を介したmGluR1/5のペリシナプス局在制御とシナプス伝達調節機構の解明を目的として研究を行う。これらを明らかにすることで、mGluR1/5依存的な高次脳機能の解明が期待できる。
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研究実績の概要 |
記憶や学習などの高次脳機能発現の基盤となるシナプス可塑性の1つであるシナプスの長期抑圧(LTD)は、興奮性シナプス後部のペリシナプスに局在するグループI代謝型グルタミン酸受容体(mGluR1/5)の下流シグナルによって誘導されることが知られている。しかしながら、mGluR1/5がどのような局在調節を受けてペリシナプスに局在し、シナプス伝達を調節しているのかは不明な点が多い。本課題では、細胞内小胞輸送を制御するArf6を活性化するサイトへジン2に着目し、サイトへジン2-Arf6シグナル伝達経路による小胞輸送調節を介したmGluR1/5のペリシナプス局在制御とシナプス伝達調節機構の解明を目的として研究を遂行している。2年目である2023年度は、2022年度の探索的研究の結果を踏まえ、進捗が見込まれる研究計画の実験に取り組み、有意義な結果が得られている。まず、mGluR5の局在を制御するサイトへジン2分子ネットワーク解析では、2022年度に単離したサイトへジン2との相互作用分子がmGluR5とも相互作用することを明らかにするとともに、3者で複合体を形成することを見出した。サイトへジン2欠損マウスの海馬依存的学習行動試験も2022年度より引き続き行ない、サイトへジン2欠損マウスの学習行動異常を確認している。さらに、海馬初代培養を用いてサイトヘジン分子の阻害剤投与によって、mGluR5や関連分子の局在変化を確認した。以上のように、サイトへジン2によるmGluR1/5のペリシナプス局在制御とシナプス伝達調節を明らかにするためデータが得られており、今後も研究計画に沿って、進捗が見込まれる解析を中心に研究を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の2年目である2023年度は、2022年度で行った探索的実験から得られた結果から発展させた解析を進め、サイトへジン2-Arf6シグナル伝達経路によるmGluR1/5のペリシナプス局在制御機構を明らかにするためのデータが得られている。まず、興奮性シナプスのmGluR5の局在を制御するサイトへジン2分子ネットワーク解析では、サイトへジン2と相互作用する分子の同定を行い、mGluR5とも相互作用することを明らかにするとともに、3者で複合体を形成することを見出したため、この分子がmGluR5のシナプス後肥厚部からの排除に関与している可能性を検証する実験に着手している。具体的には、サイトへジン2欠損マウスの海馬の培養神経細胞に局在制御候補分子との結合部位を欠損した変異体やリン酸化部位変異体発現ベクターを導入して、mGluR5の局在の異常の有無を検証している。また、サイトへジン2欠損マウスの受動的回避試験や新規物体認識試験などの海馬依存的学習行動の変化を解析するとともに、運動機能や社会性行動に異常がないかを検証している。以上より、本研究課題は、遂行できていない実験もあるが、進捗が見込まれる実験を中心に進めており、最終目標であるmGluR5の局在制御機構とシナプス伝達調節機構の解明に貢献する可能性のある研究を遂行できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も本研究課題の研究計画に沿った解析を推進する予定である。2024年度は、サイトへジン2欠損マウスの海馬培養神経細胞を用いて、様々な変異体発現ベクターを導入する機能回復実験を行うことで、サイトヘジン2のどの領域がmGluR5の局在制御に必須であるのかを検証するとともに、サイトへジン2相互作用分子のノックダウンベクターを用いて、その分子の機能的役割の検証も行う。また、サイトへジン2欠損海馬神経細胞のArf6活性変化測定からmGluR5の局在制御にArf6の活性調節が必須であるのかを検証する。さらに、サイトへジン2欠損マウスを用いた海馬スライスの電気生理学的解析と、サイトへジン2欠損マウス海馬への子宮内電気穿孔法でのサイトへジン2変異体の導入による学習行動の機能回復実験を遂行する。
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