研究課題/領域番号 |
22K06465
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46020:神経形態学関連
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研究機関 | 福井医療大学 |
研究代表者 |
猪口 徳一 福井医療大学, 保健医療学部, 教授 (60509305)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 神経回路形成 / 軸索側枝 / マルチプロジェクション / 皮質脊髄路 / 脳弓線維 / 乳頭体 / 受容体 / 細胞骨格 / シナプスオーガナイザー / 受容体クラスタリング / 光操作 |
研究開始時の研究の概要 |
一つの神経細胞が複数の標的細胞と繋がることで作られるマルチプロジェクション回路は、脳の複数の領域間での協調的な神経活動を可能にする重要な仕組みである。この仕組みの形態的基盤となっているのが神経細胞同士を繋ぐ長く伸びた軸索の枝分かれ、すなわち軸索側枝である。しかし、軸索側枝が脳内の決められた場所で出芽・伸長し、適切な脳領域へと投射してマルチプロジェクション回路を作り上げる仕組みはわかっていない。本研究は、独自に見出した軸索側枝出芽・投射に関与する細胞膜受容体群について、脳内局所での活性制御機構と軸索内細胞骨格の動態変化を解析することで、マルチプロジェクション回路が出来上がる仕組みを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は、これまでの研究で我々が独自に見出し、皮質脊髄路において軸索側枝出芽・投射に関与することを報告してきた細胞膜受容体群について、マルチプロジェクション回路を形成する他の脳内神経回路において共通に機能しているかについて解析を進めた。 生後2日目のマウス脳切片を用いたin situ hybridizationにおいて、papez回路を構成する脳弓線維の起始細胞が存在する海馬台と、脳弓線維からの側枝が投射する視床前核や乳頭体で上記細胞膜受容体群の一部が領域(あるいはサブ領域)特異的に発現していることを見出した。これら受容体群に着目し、マウス胎仔脳内での遺伝子操作法(in utero electroporation法)を用いて、海馬台神経細胞で上記細胞膜受容体の一つをノックダウンしたところ、脳弓線維のdefasciculationと乳頭体への側枝投射領域の拡大傾向が見られた。これらの結果については、学会にて発表し、現在、脳弓線維とその側枝が形成される様々な発生ステージでサンプル数を増やして統計解析を進めている。 一方、培養神経細胞や培養脳スライスを用いた解析については、これまで報告してきた、マルチプロジェクション回路形成細胞の内部因子(受容体や細胞骨格、ミトコンドリアなど)に加えて、外部因子(細胞外マトリックス、分泌因子など)について明らかとするために、側枝投射先の神経核や神経細胞集団を分離培養する手法の開発を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子組換え実験安全管理委員会の立ち上げや、動物実験設備などの研究室のセットアップが概ね完了したことで、本研究課題について本年度に計画していた実験を実施し、成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
脳弓線維におけるマルチプロジェクション回路の形成について、脳発生段階ごとのサンプルデータを増やして、統計解析を行い、皮質脊髄路における側枝形成機構との共通性に着目して研究を進める。また、同時に、側枝投射領域の神経細胞や神経組織の培養法を確立し、側枝形成に関与する外的因子について解析を進める。研究成果についてまとめ、学会発表と論文投稿を進めていく。
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