研究課題/領域番号 |
22K06466
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46020:神経形態学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
舟本 聡 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (10345043)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / アミロイドβ / リンパ節 / 小脳 / 大脳皮質 / クリアランス / 神経変性疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
Aβは、アルツハイマー病(AD)の原因物質として知られ、AD脳の病理的特徴の一つ老人斑の主要な構成成分である。老人斑は、大脳皮質に多く認められるが、小脳では少ない。先行研究により、実際には大脳と小脳でAβ産生量に大きな差がないことが分かっている。小脳がADの特徴を呈さないことは、小脳にはADに抗する未知の機構が存在することを示唆する。本研究では、この機構の解明に取り組む。具体的には大脳と小脳に蛍光標識Aβの定位注入を通して、Aβの排出機序の解明やAβ凝集体形成の比較検討を行い、Aβなどの構造異常タンパク質による神経変性疾患に対抗するための洞察を得ることを目的としている。
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研究実績の概要 |
先行研究で、小脳に注入したHilyte Fluor標識Ab42が、大脳に注入した場合よりも強く深頸リンパ節に も認められた。このことは、小脳で産生されたAbが髄膜リンパ系を介して排出されている 可能性を示唆する。しかし、Hilyte Fluor標識Ab42が分解を受けて、単に蛍光物質のHilyte Fluorだけが深頸リンパ節に 達した可能性も否定できない。また、通常ではAb40は脳の血管に検出されることが多い。 これらを検証するために、大脳皮質と小脳のそれぞれにHilyte Fluor標識Ab40, 42を定位注入後、経時的 にヒトAb特異抗体で脳血管や深頸リンパ節でAbの検出を試みた。その結果、Hilyte Fluorの蛍光像と同様にヒトAb特異抗体の染色像が深頸リンパ節に認められた。しかし、血管壁での検出には困難があった。このことから少なくとも深頸リンパ節にはAbが到達していることが確認できた。 先行研究では、大脳と小脳では間質液Ab量に差がないが、小脳ではAb排出が盛んであることが分かった。しかし、小脳自身がもつ抗Ab凝集能については依然不明である。これの回答を得るために、大脳と小脳それぞれのホモジネート中でのAb42の凝集を検討した。その結果、大脳ホモジネート中よりも小脳ホモジネート中でAb42をインキュベーションした方が超遠心沈殿画分に移行するAb42が多く存在し、しかも高分子となった。この結果はインビトロでは小脳の方がAb42凝集性が高い環境であることを示唆した。 次年度に向けてAb凝集核の調製に取りかかった。当初はin vitro Ab凝集体を調製する予定であったが、既報からin vitro Ab凝集体とin vivo Ab凝集体では凍結電子顕微鏡像では構造が異なることから、高齢のNLFGやNLFマウス脳からAb凝集核を調製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
深頸リンパ結紮以外は概ね既に提出した研究計画調書年次計画の予定よりも僅かに速く進んでいる。理由は、事前の準備は整っていたことと、実験スキルが安定していたことが考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
深頸リンパ結紮の手技を向上させて小脳のAb排出を検討する。Ab42の凝集核は試験管内で調製するのではなく、高齢NLGFマウスなどから大量に調製し、確実に凝集しているAb42を注入して検討する予定である。
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