研究課題/領域番号 |
22K06474
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
鬼丸 洋 昭和大学, 医学部, 客員教授 (30177258)
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研究分担者 |
池田 啓子 昭和大学, 歯学部, 客員教授 (10265241)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 低酸素応答 / Phox2b / チロシン水酸化酵素 / 吻側腹外側延髄 / アストロサイト / ATP受容体 / NOX / 呼吸性ニューロン / 循環ニューロン / NADPHオキシダーゼ |
研究開始時の研究の概要 |
低酸素刺激に対する急性期応答としては,頸動脈小体などの末梢化学受容器による神経機構が良く知られている.しかし,多くの先行研究で,末梢化学受容器除去下においても低酸素応答が見られることから,中枢性の低酸素受容器の存在が示唆されてきた.その有力な候補の1つとして,延髄吻側腹外側部のTH陽性細胞 (いわゆるC1アドレナリンニューロン)が挙げられる.本研究では,この延髄腹側TH陽性ニューロンにおける低酸素受容の細胞機構を,1)TH陽性細胞が真に内因性低酸素受容細胞であるのか,2)どのような細胞内分子機構により低酸素受容応答が引き起こされるのかについて,明らかにしていく.
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研究実績の概要 |
これまでの研究で,新生児ラット摘出脳幹-脊髄標本を用いて,延髄吻側腹外側部の呼吸・循環関連ニューロンから細胞内記録を行い,低酸素および高二酸化炭素刺激に対する膜電位応答をTTX存在下で調べてきた.その結果,Phox2b+/TH+ニューロン(いわゆるC1アドレナリンニューロン)は低酸素刺激に対し,脱分極を示したが,高二酸化炭素刺激には応答しなかった.これらの実験はTTX存在下で行われたので,その細胞の内因性応答を示すと考えられた.さらにATPあるいはグルタミン酸などのグリオトランスミッターの受容体ブロッカーの存在下(いわゆるカクテルブロッカー溶液)においてもPhox2b+/TH+ニューロンの低酸素応答は維持された.2023年度は,低酸素受容におけるNOXカスケードの関与及び一酸化窒素合成酵素(NOS)の関与について検討した.その結果,低酸素応答は,NOX インヒビター, apocynin (0.1 mM) あるいはNO合成促進剤,L-arginineの存在下で抑制される場合と維持される場合とがあった.統計的検証を行うために,さらに例数を増やす必要がある.これらの結果は,Phox2b+/TH+ニューロン(いわゆるC1アドレナリンニューロン)が中枢性低酸素受容器の1つである可能性を示しているがその分子機構についてはさらに今後の検討を要する.また,低酸素刺激に対する出力としては呼吸活動の変化及び交感神経活動の変化があるが,Phox2b+/TH+ニューロンの低酸素に対する応答パターンは交感神経出力の変動により密接に関連していることが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分子機構についてはさらに例数を増やして検討する必要があるが,おおむね,予定通りに進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
低酸素受容におけるNOXカスケードあるいはNOSの関与についてさらに検討する.また低酸素応答の出力として,呼吸性活動の変化と交感神経出力の変化がある.交感神経活動の応答パターンは,Phox2b+/TH+ニューロンの低酸素応答に密接に関連していることが確認された.一方,呼吸性活動の変化はより複雑であり,リズム抑制と興奮が連続して起こった.特に,抑制の要因としてはGABAニューロンの活性化の関与が考えられた.低酸素によって興奮するGABAニューロンの存在が想定される.この点についても今後解明を進める.
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