研究課題/領域番号 |
22K06476
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
山形 朋子 東邦大学, 医学部, 助教 (90584433)
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研究分担者 |
船戸 弘正 東邦大学, 医学部, 教授 (90363118)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 睡眠 / 鎮静 / アドレナリンα2受容体 / デクスメデトミジン / マウス / 麻酔 / 大脳皮質 / 視床下部 |
研究開始時の研究の概要 |
鎮静とは、麻酔薬ないしは鎮静薬などにより意識が低下/消失した状態を指す。睡眠も、鎮静と同じく意識の消失を伴うものの、脳の修復的機能、学習促進機能を有し、鎮静とは別の状態であるとされる。鎮静と睡眠はどちらも覚醒とは対極の状態を表すが、鎮静と睡眠を支える神経基盤は同じであるのか、何が鎮静と睡眠の違いを生み出すのかは明らかでない。この研究は、睡眠と鎮静の促進に関与することが示唆されている視床下部と、意識・覚醒レベルの指標となる大脳皮質に着目し、薬理遺伝学・光遺伝学が可能なマウスを対象として、睡眠と鎮静を神経回路レベルから解明することを目指している。
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研究実績の概要 |
初年度は、神経活動依存的に発現する遺伝子fosを利用したFos-Cre遺伝子発現システム(TRAP)を用いて、それぞれ鎮静薬デクスメデトミジン投与時、拮抗薬アチパメゾール投与時、麻酔薬投与時、睡眠時に活性化される細胞群を探索した。その結果、鎮静薬デクスメデトミジン投与時に活性化される細胞群として、特に視床、視床下部、中脳、橋を見出した。さらに、赤色蛍光レポーター系統Ai9とcfos抗体染色との組み合わせにより、2つの覚醒ステートの両方、ないしは片方だけ活性化される細胞群を区別することができた。現在、それらの領域について、薬理学的・光遺伝学的操作(DREADD、オプトジェネティクス)、カルシウムセンサーを用いた神経活動計測(ファイバーフォトメトリ)を行い、鎮静および睡眠覚醒への関与について、検証を進めている。特に、視索前野および視索上核については、鎮静薬デクスメデトミジン投与時に活性化された細胞群に対し、オプトジェネティクスを用いた光再活性化実験を行った。その結果、睡眠時再活性化により覚醒が促進された。この結果は、先行研究の薬理学的・光遺伝学的実験の報告とは異なっている。この結果を踏まえ、今後は脳内での探索範囲を広げて、皮質・皮質下で鎮静作用により重要である領域を探る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、神経活動依存的に発現する遺伝子fosを利用したFos-Cre遺伝子発現システム(TRAP)を用いて、鎮静時に活性化された視索前野とその周辺領域のニューロン群の選択的神経操作を実施した。 さらに、覚醒状態制御を司るニューロン群のNA受容体発現の検証のため、in situ hybridizationのためのプローブを作製し、そのプローブが機能することを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、睡眠時・鎮静時・覚醒時に活性化する視索前野ニューロン群の選択的神経操作を行うとともに、皮質と、鎮静作用のターゲットである青斑核の選択的神経操作を行う。
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