研究課題/領域番号 |
22K06489
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
神田 浩里 兵庫医科大学, 薬学部, 助教 (80842088)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | scRNA-seq / 次世代シーケンサー / トランスクリプトミクス / 交感神経活動 / 末梢神経 / パッチクランプ / GABA / CGRP / 光遺伝学 / 神経回路 / シナプス伝達 / EPSC |
研究開始時の研究の概要 |
交感神経活動は主に中枢神経によって制御されるが、近年では腹腔神経節内での介在神経や感覚神経による末梢性調節機構の存在が示唆されている。本研究では、申請者の独自技術であるPressure-clamp パッチクランプ法を腹腔神経節へ応用し、神経回路を温存した状態でのシナプス伝達解析を行う。また、SST-cre (介在神経のマーカー)もしくはCGRP-cre(感覚神経のマーカー)の各ラット系統と光遺伝学(ChR2)を組み合わせることによって、光刺激による制御下で神経回路の解明を行う。これにより、これまで詳しく知られていなかった末梢神経系で行われる交感神経活動調節について分子レベルでの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
末梢の交感神経節は主に神経細胞やグリア細胞で構成されているが、その神経やグリア細胞には多様性があることが知られている。今年度は次世代シーケンサーを用いたSingle-Nucleus RNA-Sequence法により、正常動物において交感神経節を構成する個々の細胞レベルで発現プロファイル解析を行った。また、神経節ごと解析に用いることにより、神経細胞のみではなくグリア細胞などの全ての細胞についても同時に解析を行った。得られたデータのクオリティーコントロール後に、seurat (v5)パッケージを用いてクラスター解析を行った。データ解析の方法としては、データのフィルタリングと正規化を行い、PCA(主成分分析)を行った。その後クラスタリングを作製しUMAPによる次元削減を行い、それぞれのクラスターにおける特徴遺伝子の抽出、またはクラスターのGene ontology(GO)解析を行った。 腹腔神経節内に局在する個々の細胞は大きく13のクラスターに分類することができた。既知の各細胞種のマーカー遺伝子から、それぞれのクラスターを構成する細胞群のアノテーションをおこない、交感神経節を構成する細胞は大きく、グリア細胞、神経細胞、血管内皮細胞、線維芽細胞(resting、activated)、免疫細胞、分裂細胞、7種類の細胞群に分類することができ、割合としては、神経細胞とグリア細胞がその大半を占めていた。さらに神経細胞みを抽出し再クラスタリングを行った結果、個々の神経細胞は遺伝子発現プロファイルが異なる4つの神経細胞群に分類することができた。 今年度はsnRNA-seq法により、交感神経節に局在する個々の細胞レベルにおいて膨大な遺伝子情報を得ることができ、末梢神経内神経回路を紐解くための基盤を確立する事ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度の電気生理学的解析に加え、今年度はsnRNA-seq法により遺伝子発現の分子基盤も明らかにすることができた。当初予定していた遺伝子組み換えによる感覚神経の活動制御については、プロジェクト進行の優先順位的に若干の遅れはあるものの、プロジェクト自体は当初の計画以上に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度では、前年度ので電気生理学的解析で得られたデータと遺伝子解析のデータを結び付けるため追加実験をおこない、年度内での論文投稿を予定としている。またこれまで正常動物を使用して解析を行っているため、病態との関連性についても探求する予定である。
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