研究課題/領域番号 |
22K06491
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
道川 貴章 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 研究員 (90282516)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 運動制御 / カルシウムイメージング / ベイズ推定 / マウス / 蛍光共鳴エネルギー移動 / 独立成分分析 / マクロ顕微鏡 / 大脳 / 小脳 |
研究開始時の研究の概要 |
脳の活動には様々な周波数帯成分が含まれている。一方、脳の出力である運動にも様々な周波数成分が含まれているが、両者の関係は必ずしも明らかではない。本研究では、申請者がこれまでに開発してきたマウスの大脳および小脳皮質の背側全域を100 Hz、0.01 mm/pixelの解像度で観察可能な大規模Ca2+イメージング法を用いて、様々な周波数成分を含む運動を実行している時のマウスの脳活動を計測し、運動の実行に伴って活動が変化する周波数帯及びそれらが観察される大脳皮質及び小脳皮質の領域の同定を試みる。得られたニューロン活動をもとに、運動の速度や繰り返しの周期を決定している脳内機構の解明を試みる。
|
研究実績の概要 |
脳の活動には様々な周波数帯成分が含まれている。一方、脳の出力である運動にも様々な周波数成分が含まれているが、両者の関係は必ずしも明らかではない。本研究では、超広視野マクロ顕微鏡と蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)型の蛍光カルシウムセンサーyellow camelon2.60を組み合わせたマウス全脳(大脳皮質および小脳皮質背側全域)のニューロン活動を光学的に計測する手法をもとに、独立成分分析により機能セグメント(同期した自発発火を起こすニューロンの集団)を同定することで、従来用いられてきた脳波計測等では困難であった「大脳皮質および小脳皮質の機能単位(セグメント)毎に各周波数帯のパワーと位相を高精度に計測する手法」を確立した。この手法を用いて、給水口を舐めて水を飲むリッキング動作中のマウスの脳活動を計測し、運動に伴って活動が変化する周波数帯及びそれらが観察される大脳皮質及び小脳皮質の領域の同定を試みた。その結果、リッキングのリズムを含む複数の周波数帯の脳活動において、同じ周期で連続して実行されるバースト状のリッキング動作の開始時に大脳皮質および小脳皮質の広範な領野でニューロンの活動が特定の位相に揃うことを見出した。さらに、ベイズ推定を用いることで、これらの領野の脳活動からリッキングが開始される時刻を解読可能であることを明らかにした。以上の結果により、自発的な運動の開始の決定に、大脳皮質および小脳皮質の広範な領野の複数の周波数帯の活動が関与していることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大脳皮質の興奮性錐体細胞および小脳皮質のプルキンエ細胞に蛍光カルシウムセンサーYC2.60を発現するマウス5匹について、自発的なレバー押し動作、および報酬の水を飲むリッキング動作中の大脳および小脳のニューロン活動の計測を完了した。また、大脳皮質および小脳皮質の抑制性介在ニューロンにYC2.60を発現するマウス2匹について同様の計測を行った。マクロ顕微鏡下に設置可能なマウス用の歩行器具を作成した。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度の得られた計測データの解析を行い、自発的なレバー押し運動の実行に伴って活動が変化する周波数帯及びそれらが観察される大脳皮質及び小脳皮質の領域の同定を試みる。頭部固定条件で車輪や発砲スチロールボールの上を様々なパターンで歩行するようにマウスのトレーニングを行い、歩行時の大脳および小脳の活動を光学的に計測する。
|