研究課題/領域番号 |
22K06495
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山越 博幸 東北大学, 薬学研究科, 助教 (30596599)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ラマンプローブ / ラマン分光 / チアMichael反応 / チオール / Michael受容体 / ラマン / イメージング / ニトリル / チアマイケル |
研究開始時の研究の概要 |
ラマンタグイメージングは低分子化合物の生細胞解析法の一つとして利用されている。しかし、その用途は主に低分子化合物の「局在解析」に限られており、潜在的な利用価値は未開拓のままである。本研究では、ラマンタグイメージングの汎用性拡大を目的として、可逆的な共有結合形成反応の生細胞解析を試みる。具体的には、独自の設計に基づき合成したラマンプローブを用いて、共有結合阻害薬と細胞内のチオールの付加反応(チアMichael反応)を定量解析する。
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研究実績の概要 |
昨年度、ThioRasと名付けたチオール解析用のラマンプローブを開発し、水溶液中でのレシオ解析に成功していた。同結果を踏まえ、本年度はThioRasの生細胞解析を行った。まず、HeLa細胞に処理したThioRasとフェニル基を持つ誘導体の分布を調べた結果、フェニル基を持つ誘導体が粒状の分布を示したのに対し、ThioRasは拡散した分布を示した。ThioRasの小さくて水溶性に優れた特性によるものと考えられる。次に、ThioRasとグルタチオンをHeLa細胞に処理し、細胞中で起こるチアMichael反応をラマン解析した。水溶液の場合と比べてスペクトルの形状はブロードであったが、ThioRasとそのチオール付加体のニトリルピークは分離可能であった。培地、核、細胞質、脂肪滴の平均ラマンスペクトルの各ピーク強度から、ThioRasとそのチオール付加体、および両者の合計濃度を概算した。その結果、疎水的な脂肪滴中ではThioRasの割合が高く、チオール付加体の生成が不利であることがわかった。同傾向を溶液実験で検証した結果、ThioRasは、脂肪滴を模倣したヘキサン酸や酢酸エチル中ではメルカプトエタノールと反応しない一方、極性溶媒のDMSO中では付加体を与えた。続いて、ピーク強度比から推定した培地中のチオール濃度は、添加したグルタチオンの濃度と殆ど同じであった。このことから、ThioRasを用いたチオール濃度の推定の妥当性が示された。現在は、検出感度の改善を目指して、ThioRasのエステル部位の構造修飾を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画の二年目で誌上報告に至れたため、当初の計画より進んでいる。三年目はより発展的な内容に取り組む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
プローブのエステル部位を構造修飾することで、プローブの高感度化を目指す。
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