研究課題/領域番号 |
22K06502
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
滝澤 忍 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (50324851)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 環境低負荷型反応プロセス / 高活性触媒 / 不斉反応 / 光反応 / 電解反応 / 機械学習 / 卑金属 / グリーンケミストリー / 卑金属触媒 / 炭素-炭素結合形成反応 / バナジウム / カップリング / 電解移動錯体 / 不斉触媒 / 光活性化 |
研究開始時の研究の概要 |
SDGs対応のエネルギー利用効率が高い不斉C-C結合形成反応プロセスの実現には、穏和な条件下、高い活性を示す環境調和型不斉触媒の創製が鍵となる。これまで本申請者は、多核金属触媒や有機触媒等の多機能不斉触媒の開発に成功している。同一触媒骨格に配置した複数の反応基質活性化ユニットによる多点配向制御機能が高活性・高選択性発現に重要な役割を担うことが明らかとなっている。本研究では、多機能不斉触媒開発で蓄積したデータを活用し、触媒機能の集積化と、骨格修飾や光照射等の外部刺激による新規活性化により、C-C結合形成反応を効率的に促進する環境低負荷な卑金属複合不斉触媒を開発し、精密有機合成への応用を試みる。
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研究実績の概要 |
グリーンケミストリー対応の省エネルギーな不斉炭素(C)-炭素(C)結合形成反応プロセスを実現するには、穏和な条件下、高い活性を示す環境調和型不斉触媒の創製が鍵となる。これまでに申請者は、多核金属触媒やメタルフリーな有機触媒等の多機能不斉触媒の開発に成功している。同一触媒骨格に配置した複数の反応基質活性化ユニットによる多点配向制御機能が高活性・高選択性発現に重要な役割を担っており、酵素的作用機序を持つ触媒として数多くの知見を得ている。今回、多機能不斉触媒開発で蓄積したこれまでのデータを活用し、触媒機能の集積化と、骨格修飾や光照射等の外部刺激による新規活性化を基軸とする、C-C結合形成反応を促進する環境低負荷な卑金属複合不斉触媒の開発を目指した。開発した触媒のいくつかを精密有機合成反応へ適用した結果、下記成果を得た。 ・電解one-pot反応を積極的に活用することで、ヘリセン、デヒドロヘリセン、サーキュレンといった複雑π共役化合物の簡便合成を達成した。卑金属不斉触媒とのハイブリッド合成により、セミグラムスケールにて高光学純度のデヒドロヘリセンを合成することに成功した。 ・光照射のみで触媒の酸性度が変化する光応答型有機分子不斉触媒の開発した。触媒のDFT計算からビスジチエニルエテンユニットの閉環構造体が高い酸性度と優れたキラルポケットを有していることが示唆された。実際インドールとアルジミンとの不斉aza-フリーデル・クラフト反応に適用したところ閉環体が開環体よりも高い活性を示すことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
効果的に結合形成反応を促進する電解反応や光反応を積極的に精密有機合成に取り入れることで、CPL特性や光応答性不斉触媒として働く機能性有機分子化合物を多数開発した。その成果は2023年度の査読付論文にて発表済みである。ヘリセン類の電解one-pot合成(Molecules 2024), データ駆動型デヒドロヘリセン電解合成(Electrochemistry 2023), 光応答性不斉触媒(有機合成化学協会誌 2023, Chem. Commun. 2023, Chemical Record 2023)。尚、これら反応の開発に機械学習や数理モデルを取り入れることでコスト削減にも成功した。機械学習の成果(Green Chem. 2024, Molecules 2023)。
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今後の研究の推進方策 |
酸素雰囲気下、単核バナジウム金属触媒存在下、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)・塩化メチレン(DCM)・水の三成分混合溶媒に光照射すると、2-ナフトールと2-アミノナフタレンとの不斉ヘテロカップリング反応が最高95%収率・80% ee以上にて進行することを最近見出している。DFT計算の結果から、本反応は、カップリング前駆体上の配向基の位置が高エナンチオ選択性実現に重要であり、5~3価のバナジウム活性種の存在も示唆された。そこで本年度は、配向基の再スクリーニングを行うとともに、その位置についても再検討していく。本反応では、電荷移動錯体と様々な価数の卑金属錯体のハイブリッド型活性化にて反応が進行することが、安藤香織先生と共同研究で明らかになりつつある。今後はその実証実験を行ない、真の反応機構を明らかにする。今後は得られている知見を活かして医薬資源合成への応用へと発展させたい。また、電解不斉one-pot反応において鍵となる光学活性な電極の開発も併せて検討していく。
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