研究課題/領域番号 |
22K06512
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
樋口 和宏 明治薬科大学, 薬学部, 准教授 (60360195)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | スルホニウム塩 / オキシアリルカチオン / 極性転換反応 |
研究開始時の研究の概要 |
ある種のスルホニウム塩は生体内メチル化剤や医薬品などの生理活性物質として、または医薬品開発におけるトリフルオロメチル化剤として重要な役割を担うためスルホニウム塩の反応性を開発することは重要な課題である。従来スルホニウム塩はスルフィドとハロゲン化アルキル試薬で合成されてきた。しかし求電子的なアルキル化剤の種類は限られており、スルホニウム塩の合成には改善の余地がある。私たちはスルホキシドと酸無水物から生成する活性スルホニウム種に対して、求核的なアルキル化剤を作用させ、新規スルホニウム塩を合成することを考えた。合成したスルホニウム塩の反応性を調査し、新しい機能を有するスルホニウム塩の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、スルホキシドを基質として従来とは相補的な方法で新規アルキルスルホニウム塩を合成し、その反応性を調査することである。従来のアルキルスルホニウム塩の合成法は、スルフィドをアルキル化するものが主流であり、生成したスルホニウム塩の実用性については、梅本試薬に代表される求核的トリフルオロメチル化剤やLiebeskindらによるクロスカップリング反応等で証明されてきた。我々はスルホキシドと酸無水物から形成される活性スルホニウム塩の硫黄原子上へ種々の官能基を求核的に導入できれば、アルキルスルホニウム塩の合成範囲を拡張でき、これに伴いスルホニウム塩の新たな反応性への展開が期待できると考えた。さらに基質となるスルホキシドについては、硫黄原子が不斉中心になることからキラルアルキルスルホニウム塩の開発や、スルホキシドの水和する性質を利用して水中で機能するスルホニウム塩の創製を視野に入れて、令和4年度は以下の研究成果を得た。 ジ-p-トルイルスルホキシドを基質として、アリルスルホニウム塩とα-ケトシクロアルキルスルホニウム塩をそれぞれ固体として単離することに成功した。さらに合成したアリルスルホニウム塩を用いて活性メチレン化合物のアルキル化反応を試みたところ、アリル体やシクロプロピル体が得られた。シクロプロピル体については、立体選択性について検討を行った。 また、α-ケトシクロアルキルスルホニウム塩に対して塩基を作用させたところ、オキシアリルカチオン中間体が発生することが判明し、様々な求核剤を用いてスルホニウム塩との置換反応を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スルホニウム塩の合成と単離はおおむね順調に進行している。一部のスルホニウム塩には安定な結晶として単離できないものもあるため、イオン交換樹脂等を用いてカウンターイオンの交換を行い結晶化を試みる。 合成したアリルスルホニウム塩と活性メチレン化合物の反応性について反応条件を精査したところ、試薬を入れる順番とスルホニウム塩の当量に制約があることが分かった。さらなる反応条件の最適化を進めるとともに、種々の活性メチレン化合物についてアリル化反応を適用したい。
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今後の研究の推進方策 |
上記で合成したスルホニウム塩以外にも適応範囲を拡大する。 さらにスルホニウム塩の反応性については電解反応や光化学反応を使って、スルホニウム塩独自の反応性を開拓する。また、反応溶媒として水を用いた反応についても検討したい。
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