研究課題/領域番号 |
22K06515
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
稲本 浄文 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (30359533)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 遷移金属触媒 / 炭素-水素結合官能基化 / 閉環反応 / 複素環化合物 / 酸化剤 / 脱水素型プロセス / C-H 官能基化 |
研究開始時の研究の概要 |
効率性や経済性,環境調和性の高い分子構築法の開発は極めて重要な研究テーマであり,このニーズを満たす有機合成手法のひとつに,「C-H 官能基化」がある.本研究では,この手法を分子内炭素-ヘテロ原子(窒素,硫黄,酸素原子)結合形成プロセスへ応用した,新規複素環構築法の創出を広範におこなう.基礎的検討に加えて種々の発展的研究課題を予定しており,生理活性化合物および機能性分子の母核として広範に存在する複素環類の,高効率的かつ革新的合成法の確立・体系化を目指す.
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研究実績の概要 |
化学的に不活性である炭素-水素 (C-H) 結合を触媒的に活性化して官能基化する手法,いわゆる「C-H 官能基化プロセス」は,2000 年以降,非常に活発な研究領域となっている.一方で複素環化合物は,医薬品等の生理活性化合物や機能性分子の母核として広範に存在する,極めて重要な化合物群の 1 つであり,その実践的かつ効率的な構築法および修飾法の開発は,古くから重要な研究分野として位置づけられてきた.申請者はこれまで,この「C-H 官能基化プロセス」を分子内反応へと適用した複素環化合物合成に注力し,成果を挙げてきた.今回,2-ベンジル安息香酸を出発物質に用い,パラジウム触媒存在下,分子内 C-H 官能基化を経由する閉環反応を試みたところ,フタリド化合物が効率的に得られることを見出した.反応条件スクリーニングの過程において,クロロベンゼンを溶媒に用いることで,通常本プロセスにおいて必須である酸化剤を添加しなくとも,所望の閉環体が得られることが判明した.これは,クロロベンゼンが溶媒としてだけではなく,酸化剤としても機能していることを示唆する結果である.これまで「C-H 官能基化プロセス」においてクロロベンゼンを積極的に酸化剤として用いている例は非常に限られており,興味深い知見が得られたと考えている.種々の置換パターンを有する 2-ベンジル安息香酸が本閉環反応に適用できることも確認しており,既存の手法に比べてより効率的かつ実践的なフタリド構築法が確立できたといえる.また,本研究の過程において,脱スルホニル型の Smiles 転位反応を経由した,脂肪族ニトリルの新規合成法も見出している.さらに,「サリチルアミド誘導体とアルキン類のヘテロ環化反応」および「アントラニル酸誘導体とアルキン類のヘテロ環化反応」が,適切な遷移金属触媒を用いることで実現可能であることも,新たに見出している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規フタリド構築法を確立するとともに,サリチルアミド誘導体あるいはアントラニル酸誘導体を用いた『ヘテロ環化反応』についての知見も得られているため.
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今後の研究の推進方策 |
上述の『ヘテロ環化反応』について,詳細な反応条件スクリーニングをおこなうとともに,基質適用範囲の検討および反応機構解明に向けた検討を実施する予定である.また,発展的課題として位置づけている「非対称化によるエナンチオ選択的プロセス」についてもすでに検討をはじめているが,その実現のための端緒もすでに得られており,併せて検討を進めたい.
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