研究課題/領域番号 |
22K06517
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 松山大学 |
研究代表者 |
北村 正典 松山大学, 薬学部, 教授 (80453835)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 化学発光 / ジオキセタン / 立体障害 / 発光量子収率 |
研究開始時の研究の概要 |
蛍光発光,電界発光(有機EL分子),化学発光や生物発光は,励起状態を作る活性化過程が異なるのみで,いずれの場合も発光過程は同様である.化学発光プローブ分子の発光効率を上げるためには,これらの分野で研究開発された発光効率を増大させる手法を利用でき,また,実現可能性もかなり高い有望な方法論となるのではないかと考えた.三重項励起状態を積極的に発光させる化学発光プローブ分子の研究は皆無であり,学術的独自性があると思われる. また,別のアプローチとして,適切な立体障害の導入による一重項励起状態生成効率の改善によって,より光る化学発光プローブ分子を開発していく.
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研究実績の概要 |
生体現象を生きた生体中で捉えるための方法として,これまでに蛍光性プローブ分子が精力的に研究,開発されてきた.目的とする生体現象が起こった際に生じる生体分子を捉え,蛍光発光が変化(発光波長や発光量子収率が変化)することで,生体現象を可視化する.ただし,生体内ではヘモグロビンや水などによる光の吸収や散乱があり,生体内深部を捉えようとすれば,生体を透過しやすい650~1350 nmの光(光の生物学的窓)を用いる必要がある.つまり,蛍光性物質を用いる場合には,「励起光」および「発光」のいずれもが,この波長領域になければならない.一方,蛍光の代わりに化学発光を用いれば,「発光」波長のみが生物学的窓内にあればよいだけである.化学発光プローブ分子を使うとその他多くの利点が期待されるが,その発光効率が悪いことがこれまでの最大の問題点であった. そこで,化学発光プローブ分子にこれまでの研究とは異なる立体障害を導入して一重項励起状態を効率的に作ること(方法1),および ,三重項励起状態が生成しやすいのであれば,それを積極的に利用して発光させること(方法2),に取り組んでいる.方法1によって,既存の研究とは異なる立体障害を導入した化合物の合成を行っているものの,その立体障害の大きさ故に,ジオキセタンのそのものの合成が非常に困難であることが,これまでの研究によって分かった.また現在まで,高効率に化学発光する有力な分子は発見されていないものの,ジオキセタン化合物類の安定性に関する知見と,それに伴う合成の難易度についての情報が得られている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍での研究代表者の異動があり,新たに研究室の立ち上げに時間を要している.また,コロナ禍の影響が残っており,研究実施可能時間が減少しているため,進捗状況がやや遅れている. しかし,本課題の元来の研究目的ではないが,次のような研究成果には至った.化学発光プローブ分子を生体内で用いるためには,水溶性である必要があり,またさらに細胞膜透過性を有している方が望ましい.これらを満たす分子群としてカチオン性のアンモニウム塩が挙げられる.このカチオン性アンモニウム塩を用いた有機合成反応についての本の執筆を行い,その可能性について検討を行っている. 以上の理由から「やや遅れている」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
現在は研究室配属学生数も増えたため,大人数で課題へ取り組む予定である.また,コンピューターを使った計算科学を用いることで,プローブ分子設計の単純化を試み,その合成の効率化を図る予定である.
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