研究課題/領域番号 |
22K06523
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
谷本 裕樹 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 准教授 (00581331)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アジド / ジアゾ / アゾ / スルフィン酸 / クリックケミストリー / 蛍光発光 / ヒドラジド / 化学プローブ / ケミカルバイオロジー / 有機アジド / 機能集積化 / 分子結合切断 |
研究開始時の研究の概要 |
結合形成とリリース機能を併せ持つ精密分子集積技術を、分子内水素結合および窒素-窒素(N-N)ヘテロ原子結合を利用した高位置選択的アジドクリック戦略により実現する。この新戦略によるたんぱく解析に向けた多成分集積と高速解析に優れた独自ナノ集積法を、以下の研究内容を通して確立し、高次の生体認識ケミカルバイオロジーの開拓による創薬・生化学研究を進展させる。 (1) ヒドラジド型α-AzSA による機能集積法と結合切断法の確立 (2) アシルジアゼンによる分子連結標識化と蛍光発光波長変化システムの構築 (3) 蛍光ジアジドハブによる機能集積化学プローブの合成と標的たんぱく検出
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研究実績の概要 |
前年度に引き続き、アジドクリック基の位置選択的な別クリック基への変換法の研究を行った。アジド基から、反応性の異なるクリック基で導入法が限定的なジアゾ基への変換を、アジド保護法を活用することによって達成し、各種モノアジド化合物への適用を行った。また、ジアジド分子に対しても適用し、カルボニル隣接アジドの保護が選択的に進行、この間に保護されていない側のアジド基をクリック連結、最後に脱保護変換によってジアゾ基に変換する手法を、ワンポットでの実験操作で完結させることに成功した。本成果により、クリックケミストリーによる分子機能化において汎用されるアジド基だけでなく、有機合成化学を中心に用いられてきたジアゾ基を、多成分集積クリック戦略に積極的に取り入れることが可能となった。 一方、化学プローブ側の開発として進めてきたスルフィン酸捕捉蛍光プローブも併せて取り組んだ。前年度において簡便な結合切断が見出され、リリース機能を持つことを明らかにしたヒドラジド骨格を持つナフタルイミドを酸化しアゾナフタルイミドとしたのち、酸化的翻訳語修飾化合物であるスルフィン酸を作用させたところ、付加成積体の比は1:1と改善の必要があるものの、きわめて強い蛍光発光性を示すスルフィン酸付加体が得られることが明らかとなった。この蛍光発光性はスルフィン酸付加体だけに見られるもので、前駆体基質などでは見られないことから、将来的な蛍光センサー、スルフィン酸化タンパクの蛍光標識への利用が強く期待できる結果が得られた。 以上の結果をまとめ、年度末に2報の論文として報告発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の結果から、多成分集積に資するクリック技術、ならびに標識プローブ技術の基礎検討を完了することができた。標識プローブの分子設計については最終年度も継続して発光効率や蛍光分子の生成比の向上などを検討する必要はあるものの、今後はそれらの統合を含めた検討に移ることができる状況であるため、この評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
実践への適用に耐えうるよう、スルフィン酸捕捉プローブのさらなる改良研究を継続するとともに、アジドクリックについても一層の自在クリックを目指し、芳香族アジドに対する水素結合の影響を調査する。これら技術の年度内確立と報告を目指し、ケミカルバイオロジーへの実践適用に取り掛かれるよう、共同研究を含めた展開を推し進める。
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