研究課題/領域番号 |
22K06533
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
名取 良浩 東北医科薬科大学, 薬学部, 講師 (50584455)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | イミノ糖 / チオ糖 / ヌクレオシド誘導体 / 分子内環化 / セレン / ジフェニルジセレニド / 酵素阻害活性 / 構造活性相関 |
研究開始時の研究の概要 |
糖の環内部の酸素を、窒素でおきかえた糖をイミノ糖、イオウでおきかえた糖をチオ糖という。これらは糖に関わる酵素に対して様々な作用を示すため、イミノ糖やチオ糖は重要な薬の候補化合物である。 本研究では、新たなイミノ糖やチオ糖を開発し、それらが糖に関わる酵素に対してどのような作用を示すか調査する。特に申請者は、一般的なD体(天然型)だけでなく、L体(非天然型)のイミノ糖、チオ糖も合成できる手法を開発する予定である。 得られた新たなイミノ糖、チオ糖の生物活性を評価し、有望な作用が見つかれば、糖尿病、ゴーシェ病、ポンぺ病の新薬開発を進めることができる。
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研究実績の概要 |
研究計画に従い、チオ糖とイミノ糖の研究を実施した。 1) 環内部に硫黄をもつチオ糖の合成について 2022年度に、(R)-グリシドールから17工程を経て、目的とするコルジセピンのチオ糖アナログの合成を達成した。なお、コルジセピンは、核酸塩基部としてプリン塩基であるアデニンをもつ化合物である。2023年度では、チオ糖アナログの核酸塩基部として、ピリミジン塩基であるチミンをもつ誘導体の合成を検討した。1位にアセトキシ基をもつ3-デオキシチオフラノースに対して、有機溶媒への溶解性を高めるために、ビスTMS化したチミンを用いたVorbruggen法を実施した。その結果、1位においてアセトキシ基からチミンへの置換反応が進行し、高収率かつ、良好なジアステレオ選択性で目的物が得られることを見出した(収率95%、ジアステレオマー比はdesired:undesired=3.7:1)。その後、保護基の除去を経て、チミンをもつチオ糖アナログの合成を達成した。現在、チオ糖部をもつヌクレオシド誘導体の生物活性評価を検討している。 2) 環内部に窒素をもつイミノ糖の合成について 2022年度に、D-アラニンから、ピペリジン誘導体の合成を行った。2023年度では、環化生成物であるピペリジン誘導体から、天然物のピペリジンアルカロイドであるJulifloridineの不斉合成を検討した。ピペリジン誘導体に対して、セレノキシドの脱離を経て、アルケンとした。その後、ヒドロホウ素化-酸化により、水酸基を導入した。さらに、保護基の着脱をへて、天然と同じ立体配置のJulifloridineの形式合成を達成した。現在、本形式合成について化合物データの収集を行っている。今後は、フェニルセレニル基に対して、セレノンへの酸化、または、ラジカル還元を経由する新たなピペリジンアルカロイドの合成法開発について検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書に従って研究を実施している。20222-2023年度では、チオ糖・イミノ糖の合成を中心に研究を行う計画である。 1) 環内部に硫黄をもつチオ糖の研究について 研究実績の概要で述べたように、環の内部が硫黄をもつチオ糖の研究では、冬虫夏草由来の天然物であるコルジセピンのチオ糖誘導体を合成できた。合成計画の際、鍵工程に設定した酢酸イオンによる三員環スルホニウムイオンの開環を伴う環化反応では、高い収率で目的生成物を獲得することができた。本反応では、環化前駆体からからチオフラノース環と4 位の置換基を一挙に構築することが可能であった。さらに、2023年度では、チミンをもつチオ糖の誘導体を合成できたため、チオ糖研究については、「おおむね順調に進展している。」と考えている。 2) 環内部に窒素をもつイミノ糖の研究について 合成については、鍵反応によって窒素を含む6員環をもつピペリジン誘導体が合成可能であった。さらに、得られたピペリジン誘導体から天然アルカロイドであるJulifloridineの形式合成が達成できたため、「順調に進展している。」と考えている。 以上、チオ糖・イミノ糖の研究を総括すると「おおむね順調に進展している。」と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1) 環内部に硫黄をもつチオ糖の研究について チオ糖部の構築後の1'位への核酸塩基導入では、立体選択性が発現せずに課題となっている。ピリミジン塩基では、良好なジアステレオ選択性(desired:undesired=3.7:1)であった。その一方、プリン塩基では、ジアステレオ選択性は、desired:undesired=約1:1と課題を残している。2024年度では、1'位の立体選択性の向上を検討する予定である。さらに、合成した化合物を用いて、生物活性を評価する予定である。 2) 環内部に窒素をもつイミノ糖の研究について 標的物質をイミノ糖だけでなく、ピロリジン環を含む天然アルカロイドにも拡大した。その結果、良い成果が得られたと考えている。今後も引き続き、ピペリジンアルカロイドの合成について検討する予定である。
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