研究課題/領域番号 |
22K06537
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
高橋 秀依 東京理科大学, 薬学部薬学科, 教授 (10266348)
|
研究分担者 |
鈴木 亮 帝京大学, 薬学部, 教授 (90384784)
伊藤 清美 武蔵野大学, 薬学部, 教授 (60232435)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 軸不斉 / アミド / チオアミド / ローソン試薬 / ジアステレオマー / 光反応 / Menkes病 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでアミドについて軸不斉研究を行ってきたが、本研究ではチオアミドに軸足を移し、光反応による立体化学の制御をめざす。光増感剤を用い、動的不斉誘起反応に組み込むことで新しい軸不斉異性体供給システムを確立する。また、キラルな光増感剤を開発し、光反応を不斉環境下で行う新規な反応を開発する。さらに、希少病ではあるが、難病のMenkes病の治療薬開発を目指し、チオアミドについて得られた物理的・化学的知見を、脳への銅の送達が可能な銅錯体創製に応用する。
|
研究実績の概要 |
今年度はこれまで軸不斉を検討してきたアミド化合物をローソン試薬によりチオ化し、チオアミドに変換することを検討した。すなわち、1,4-ベンゾジアゼピノンのケトン部位をローソン試薬と反応させ、チオアミド化した。この化合物を用いて軸不斉の安定性をNMR測定により詳細に解析した。その結果、チオアミド化することにより、アミドと比較して軸不斉がより安定化することがわかった。遷移状態の活性化自由エネルギーを求めると、1,4-ベンゾジアゼピノン(アミド)では、3.3 kJ/molであったが、チオアミドでは14.0 kJ/molとなった。チオアミドの方がアミドより安定ではあるが、残念ながら、軸不斉異性体を単離できるほどの活性化自由エネルギーは得られないことが明らかになった。 さらに、環状ではないベンズアニリドのアミドをチオアミドにする検討も行った。同様にローソン試薬を用いて得られたチオアミド体について、物理化学的性質を検討した。特に、第三級アミドについて、E/Zジアステレオマーの比を求めたが、Eアミドが優先すること、E/Z比には溶媒効果が大きく影響することがわかった。また、長期に保存しておくと固体の状態でもE/Z比が変わるという興味深い現象を見出した。その他、チオ化する際の試薬についても様々に検討した。今後はE/Zジアステレオマーに加えて軸不斉の安定性についても検討する。 また、チオアミドの光反応による異性化について、初期検討を行った。現在は、より長波長側で進行するよう光増感剤を探索している。、
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
チオアミドの軸不斉異性体を単離することはできなかったが、アミドよりも安定であるという物理化学的性質を明らかにすることができた。また、固体の状態でも徐々にチオアミドのE/Zジアステレオマーが異性化することを見出したことが興味深く、新たな研究テーマとして取り組んでいる。非常に長期間(数か月の単位)にわたってこの現象を追究しており、独創的な成果が得られつつある。当初の予定とは異なった展開になってきているが、新規性のある発見をすることができているため、概ね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度はチオ化の合成法についても検討し、最適な合成反応条件を確立することができた。また、複数の単純なチオアミドと1,4-ベンゾジアゼピノンのチオアミド体を合成することができた。これらを用いて光異性化反応を検討しているが、今のところ、最適な光増感剤をまだ見つけられていない。さらに探索を重ね、光増感剤を用いて長波長で光異性化反応を行いたい。さらに、キラルな光増感剤を用いた不斉反応も検討する。
|