研究課題/領域番号 |
22K06541
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
田辺 元三 近畿大学, 薬学部, 教授 (40217104)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | スルホニウム塩 / ガラクトシダーゼ阻害剤 / 抗結核薬 / Salacinol / Neosalacinol / ラムノシダーゼ阻害剤 / salacinol / サラシノール / チオ糖 / 結核 |
研究開始時の研究の概要 |
入手容易な天然糖を原料にして、2種のチオ糖を合成する。そして、4種の硫酸エステルとのカップリングを行うことにより、8種類のチオ糖スルホニウム硫酸分子内塩、また、4種のエポキシドから8種類のチオ糖スルホニウム硫酸分子内塩、そして、ベンジル化されたエポキシド4種からベンジル化された8種類のチオ糖スルホニウム硫酸分子内塩を合成し、そのラムノシダーゼ阻害活性を測定・評価する。
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研究実績の概要 |
これまでに、サラシアから単離されたチオ糖スルホニウム硫酸分子内塩 Salacinol およびその脱硫酸エステル体 Neosalacinol が、アカルボース、ボグリボースやミグリトールなどの医薬品に匹敵する強いα-グルコシダーゼ阻害能を示すことを明らかにしている。この研究成果は、Salacinol 型 ポリヒドロキシスルホニウム塩がα-グルコシダーゼときわめて高い親和性を示すことができることを、世界に先駆けて明らかにしたものであった。そこで、Salacinolや Neosalacinol のD-グルコースに相当するチオ糖部水酸基の立体化学を変更してα-グルコシダーゼ関連酵素群のガラクトシダーゼ阻害能もつスルホニウム塩の検討を行った。本年度は、昨年度にD-リボースから合成した D-ガラクトースに相当する骨格の5員環チオ糖を用いて数種のスルホニウム塩 (1) の合成に着手した。手始めに単純なアルキル基として 1a:C2H5, 1b: n-C3H7,1c: n-C4H9, 1d: n-C7H15, 1e: n-C10H21 をもつ化合物を合成し、その阻害活性能を評価した。その結果、1a-1c はほとんど阻害能を示さなかった。しかし、側鎖が長くなるにつれ阻害活性 (1d: 62% at 1mM, 1e: 33% at 1mM) が認められた。この結果は、本化合物群は酵素に取り込まれた場合、スルホニウム原子上の長い置換基との相互作用が関係していることが示唆しているが、本化合物群がもつ5員環チオ糖部との親和性が良好でない可能性があり、すべての化合物に強い活性が認められなかったと考えている。このように、本研究を通じて、ガラクトシダーゼ阻害剤の創製になる手掛かりが得られた。今後、5員環チオ糖を6員環チオ糖に変換したスルホニウム塩を設計し、さらに活性が増強した化合物を合成する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、ガラクトシダーゼとの親和性の高い化合物の創生である。今回合成した化合物の阻害活性は良好ではなかったが、スルホニウム原子上に長鎖アルキル基を有する化合物に活性が認められたことより、スルホニウム塩とガラクトシダーゼとの相互作用に関する新たな知見が得られた。この結果は残念であったが、本研究の目的の一部を達成できたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究結果から、長鎖アルキル基の導入が阻害活性発現に関わる要因であることは明らかである。しかし、本年度合成したスルホニウム塩の5員環チオ糖部と酵素との親和性が良好でない可能性がある。今後、5員環チオ糖を6員環チオ糖に変換したスルホニウム塩を設計し、さらに活性が増強した化合物を合成する予定である。
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