研究課題/領域番号 |
22K06542
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
|
研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
伊藤 勇太 徳島文理大学, 薬学部, 講師 (90783225)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | ヌクレオシド / ジアステレオマー / 1,5-水素移動反応 / ラジカル反応 / エピメリ化 / 1,5-水素原子移動反応 |
研究開始時の研究の概要 |
ヌクレオシドのジアステレオマーは興味深い機能を有するものの、天然には殆ど存在せず、糖部立体化学を厳密に制御しながら合成する必要がある。そこで、もしヌクレオシドをエピメリ化して簡単にジアステレオマーを得ることができれば、ヌクレオシド創薬の発展に寄与するだけでなく、近年注目されているオリゴ核酸医薬の新材料の創出に資する手法となる。本研究では1,5-水素原子移動反応を利用してヌクレオシドを位置選択的にエピメリ化する手法に加え、エピメリ化と同時に糖部修飾を行う手法を確立する。
|
研究実績の概要 |
昨年度はフォトレドックス触媒およびフェニルビニルスルホン存在下、5'位にオキシムイミデートおよび3'位にTBS保護基を有するヌクレオシドに可視光を照射すると、4'位にフェニルビニルスルホンの導入されたヌクレオシドがβ-D-リボ体/α-L-リキソ体=3.5:1の比率で得られた。また、予想に反して4'位のヒドロキシメチル基の立体化学の保持されたβ-D-リボ体が優先して得られることが明らかとなった。しかし、低収率であったことから、今年度は、本反応の収率および立体選択性の向上を目指した。 まず、イミデートの加溶媒分解条件を検討したところ、メタノール溶媒中にシリカゲルを加えて24時間攪拌すると53%の収率で4'位修飾ヌクレオシドが得られた。また、シリカゲルを酢酸に変更すると短時間でイミデートの分解が進行し、収率も66%に向上した。また、興味深いことに過剰なフェニルビニルスルホンをメチルアミンで捕捉した後、水酸化ナトリウムを用いてイミデートを加水分解すると、β-D-リボ体の4'位修飾ヌクレオシドのみが得られることも見出した。 さらに、3'位水酸基上の保護基を検討したところ、TBDPS保護体ではβ-D-リボ体とα-L-リキソ体の比率が5.5:1に向上した。一方で、アセチル保護体や無保護体では比率の低下が見られた。これらの結果から、3'位水酸基への嵩高い保護基の導入により立体選択性が向上することが明らかとなった。 以上のように、β-D-リボ体の4'位修飾ヌクレオシドを簡便に得る手法を確立した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であるヌクレオシドをエピメリ化してジアステレオマーを得る計画とは異なる結果となったものの、一般的にヌクレオシドの糖部4'位で炭素-炭素結合を形成してβ-D-リボ体の4'位修飾ヌクレオシドを得ることは難しい。したがって、本法はβ-D-リボ体の4'位修飾ヌクレオシドを合成する新たな手法になると期待しており、順調に成果が得られていることから「おおむね順調に進展している。」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度である令和6年度は以下の研究を実施する。 昨年度に確立した糖部4'位化学修飾法を用いて様々な4'位修飾ヌクレオシドを合成するためにラジカル受容体の検討を行う。具体的には、エステルやニトリル、リン酸ジエステルなどを持つ電子不足アルケンをラジカル受容体に用いて反応を行う。また、β-D-リボ体の4'位修飾ヌクレオシドが優先的に得られたメカニズムについて解析する。 一方で、エピメリ化が進行する条件の探索も行う。例えば、ルイス酸の添加によるキレート形成を利用すれば4'-炭素ラジカルの糖部コンフォメーションを制御できると考えている。
|