研究課題/領域番号 |
22K06545
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
植田 圭祐 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (40755972)
|
研究分担者 |
東 顕二郎 千葉大学, 大学院薬学研究院, 准教授 (40451760)
森部 久仁一 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (50266350)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 薬物濃縮相 / 液-液相分離 / 脂質ナノ粒子 / 過飽和 / Cryo-TEM / NMR |
研究開始時の研究の概要 |
NMR及び透過型電子顕微鏡を組み合わせた分子レベルでの物性評価により、過飽和溶解薬物の液-液相分離現象の分子機構解明を行う。溶液NMRに加えてsuspension NMR等の応用測定を利用し、水相、薬物濃縮相、及び脂質粒子等の可溶化剤キャリアー中の薬物分子状態を定量的に解析し、製剤組成が薬物の液-液相分離現象に及ぼす影響を分子レベルで明らかとする。これら相分離機構解明に基づき、消化管においてナノサイズの薬物濃縮相及び薬物封入脂質粒子を形成する薬物濃縮相共存型脂質ナノ製剤開発を行う。液-液相分離現象を活用した新規製剤開発により、薬物の溶解性・吸収性を劇的に改善する脂質製剤設計指針を確立しする。
|
研究実績の概要 |
令和5年度は昨年度までに検討で調製した薬物濃縮相共存型の脂質ナノ粒子製剤についてNMRを用いた分子状態評価を行い、水相、エマルション液滴相、薬物濃縮相中の各成分の分子状態評価を行った。まず初めにLabrafil M1944 CS (M1944)を用いて調製した脂質ナノ粒子製剤について評価を行った結果、エマルション液滴を含めた水相中の薬物の分子環境が疎水性へと変化し、多くの薬物がM1944の形成するエマルション液滴に分配していることが示された。一方、M1944に由来するNMRピークは薬物濃縮相形成時においても水相中に観測された。更に薬物濃縮に由来するピークもM1944の添加により変化せず、薬物濃縮相中の薬物の分子状態はM1944の有無にかかわらず一定であり、M1944はエマルション液滴と共存する薬物濃縮相中にほとんど分配しないことが示された。一方、LabrafacTM PG (PG)を用いて調製した脂質ナノ粒子中で形成された薬物濃縮相中の薬物の分子状態はPGの共存により大きく変化していることが示された。更にNMRを用いてPGの分子環境の変化についても評価した結果、薬物濃縮相の形成によりエマルション液滴に由来するPGピークの減少が認められ、PGが薬物濃縮相中に多く分配することが示された。以上の結果から脂質ナノ粒子製剤中で形成された薬物濃縮相の分子状態は共存するoil成分によって大きく変化し、薬物濃縮相中へのoilの分配はバルクの水中における薬物の最大過飽和度を低下させるリスクがあることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定した薬物濃縮相形成型の脂質ナノ粒子製剤のNMRによる分子状態評価まで終えることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
令和6年度は薬物濃縮相物性の変化が薬物の膜透過性やバルクの水中における過飽和形成に及ぼす影響を評価する予定である。
|