研究課題/領域番号 |
22K06546
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
水口 峰之 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (30332662)
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研究分担者 |
帯田 孝之 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 准教授 (30578696)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ZCCHC3 / cGAS / タンパク質 / 自然免疫 / DNA結合 / ゲルシフトアッセイ / DNA結合タンパク質 / 立体構造 |
研究開始時の研究の概要 |
DNA結合タンパク質のZCCHC3は、自然免疫に重要なcGASと共局在し、cGASを活性化する。しかしながら、ZCCHC3がDNAやcGAS分子とどのように相互作用し、なぜcGASを活性化するのかについての詳細なメカニズムは不明なままである。さらに、ZCCHC3がどのようなDNAを認識するのかや、その結合がどの程度の強さなのかも明らかにされていない。本研究では、等温滴定型カロリメトリーなどの物理化学的解析や、X線結晶構造解析などの立体構造解析を行うことで、ZCCHC3によるDNA結合とcGASの活性化を定量的にかつ原子レベルで解析する。
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研究実績の概要 |
ヒトZCCHC3の大腸菌による大量発現系の構築を行った。全長ZCCHC3(1-403残基)のアミノ酸配列をコードするDNAを大腸菌用の発現ベクターに導入した。ZCCHC3は可溶化タグのLipoyl domainとの融合タンパク質として発現した。Lipoyl domainのN末端には精製用のHis-tagを付加した。Ni-NTA樹脂を用いてLipoyl domainとZCCHC3の融合タンパク質を精製し、その後TEVプロテアーゼでLipoyl domainとZCCHC3を切り離した。Lipoyl domainをNi-NTA樹脂で除去した後、ゲルろ過クロマトグラフィーでZCCHC3を精製した。LB培地800 mLの大腸菌培養液から、高純度のZCCHC3を十分量得ることに成功した。さらに、ZCCHC3の天然変性領域(1-160残基)の発現・精製にも取り組んだ。ZCCHC3の1-160残基のN末端にHis-tagを付加して大腸菌で発現し、Ni-NTA樹脂で精製したところ高純度のZCCHC3(1-160)を得ることができた。次に、ZCCHC3とDNAの相互作用をゲルシフトアッセイで調べた。その結果、天然変性領域の1-160残基フラグメントよりも全長ZCCHC3のほうがDNAに強く結合することがわかった。この実験では枯草菌由来の50 bpの二本鎖DNAを用いた。この枯草菌由来DNAは、自然免疫における重要なDNAセンサーであるcGASと複合体を形成し、cGASを活性化すると報告されている。また、cGASでもゲルシフトアッセイを行ったところ、枯草菌由来の二本鎖DNAに対する結合親和性は、ZCCHC3よりもcGASのほうが強いことが示された。さらに、ZCCHC3はHIV-1由来逆転写産物の一本鎖DNAのSL2領域と結合するが、SL2に対するZCCHC3の結合親和性は低いことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトZCCHC3の大腸菌よる大量発現系の構築に成功し、cGASを活性化することが知られている枯草菌由来二本鎖DNAやHIV-1由来一本鎖DNAとの相互作用解析を行うことができたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ZCCHC3と一本鎖DNAの相互作用解析を行う。また、cGASを活性化する最小DNAモチーフとして知られているG3-Y-form DNAや、その変異DNA(C3-Y-form DNAなど)との相互作用解析にも取り組む。前年度の結果と合わせて、ZCCHC3が結合するDNAの特徴を明らかにする。さらに、ZCCHC3がcGASの酵素活性にどのような影響を与えるのかについて解析を進める。
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