研究課題/領域番号 |
22K06547
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
秋田 健行 九州大学, 薬学研究院, 講師 (50294963)
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研究分担者 |
濱瀬 健司 九州大学, 薬学研究院, 教授 (10284522)
石井 千晴 九州大学, 薬学研究院, 助教 (90905308)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | HPLC / D-アミノ酸 / 鏡像異性体 / 光学分割カラム / バイオマーカー / 固定相 / キラル / クロマトグラフィー / 生体試料分析 / テイラーメード |
研究開始時の研究の概要 |
微量鏡像異性体の生体中での変動や機能の解析を加速し、医薬品やバイオマーカーなどの医療におけるシーズ探索を飛躍的に推進させることを実現するため、(1)様々な表面置換基量を細かく制御した、再現的なキラル・アキラル複合型LC固定相合成法の確立、および(2)最適な固定相組成の合理的類推法の確立を行う。また(3)ヒト尿試料や血漿試料、ヒト疾患モデル動物試料などをマトリックスとして、最適化されたテイラーメイド複合型固定相を用いる微量鏡像異性体分析法を開発し、医療シーズ探索を行う。
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研究実績の概要 |
生体内の様々な微量鏡像異性体について、同時に存在する大過剰の鏡像異性体からのキラル分離と多種多様な夾雑化合物からのアキラルな分離を両立させた複合型LC固定相を開発することを目的に、2022年度は(1)キラルセレクターの導入率や残存表面置換基量などを細かく制御した、再現的な複合型固定相合成法の確立、および(2)最適な固定相組成の合理的類推法の確立を目指した研究を行った。具体的には、逆相カラムでの十分な分離が困難なロイシン・イソロイシン・アロイソロイシンの、それぞれの鏡像異性体計6種の複合型LC固定相による一斉分離をひとつの目標に、①より精密なキラルセレクター導入率評価法の確立、②シリカゲル微粒子に対するキラルセレクター導入反応における反応条件の精査、③高キラル分離能キラルセレクターの開発、④シリカゲル表面残存アミノ基およびシラノール基のキャッピング法の検討、⑤固定相合成における再現性評価、⑥複合型LC固定相における保持時間の類推法の開発等を行った。これらの研究に関連した成果報告として、当該年度中に学会発表21件を行った。 さらには、概念実証として、上記結果を二次元キラルHPLCに応用し、(3)ヒト尿試料や血漿試料、ヒト疾患モデル動物試料などの実試料をマトリックスとして、テイラーメイド複合型固定相を用いる微量鏡像異性体分析法の開発を進行中である。 2023年度以降は、これまでの研究をさらに発展させ、対象鏡像異性体毎、試料マトリックス毎に複合型LC固定相の構造・組成を最適化することで、これまで困難であった、簡便かつ迅速な微量鏡像異性体の高選択的分析を可能とする。これにより、微量鏡像異性体の生体中での変動や機能の解析を加速し、医薬品やバイオマーカーなどの医療におけるシーズ探索を飛躍的に推進させる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書において2022年度より実施予定の、次の3点について進捗状況を詳述する。 『1.キラルセレクターの導入率や残存基量などを精密に制御したキラル・アキラル複合型固定相合成法の確立』に関して、2022年度に①より精密なキラルセレクター導入率評価法の確立、②シリカゲル微粒子に対するキラルセレクター導入反応における反応条件の精査、③シリカゲル表面残存アミノ基およびシラノール基のキャッピング法の検討、④固定相合成における再現性評価を行った。これにより、トータルのアミノ基量、キラルセレクター導入率、残存アミノ基量などの組成をより細かく、かつ再現的に制御する固定相合成が可能となった。 『2.最適な固定相組成の合理的類推法の確立』に関して、ロイシン・イソロイシン・アロイソロイシンの、それぞれの鏡像異性体計6種の複合型LC固定相による一斉分離をモデルとして検討を行った。その結果、ライブラリ化した数々のキラル固定相の中からいくつかの構造や組成の異なるカラムを用いて分析を試行し、そこで得られた対象異性体の分離挙動をキラルセレクター導入率や残存アミノプロピル基量などをパラメーターとしてプロットすることで、最適な固定相組成を合理的に類推することが可能であることが示唆された。今後は、同様の方法により設計したテイラーメイドキラル・アキラル複合型固定相を利用することで効率化を図ることが可能となる。 『3.テイラーメイド複合型固定相を用いた実試料分析』に関して、本研究の概念実証として、ヒト尿試料や血漿試料、ヒト疾患モデル動物試料などの実試料に対して、上記『1』、『2』の方法で設計・合成した複合型固定相を用いて、二次元キラルHPLCシステムによる微量鏡像異性体分析法開発を進行中である。 上記のように、研究計画調書の計画を、ほぼ遅滞なく達成できていることから、「(2)おおむね順調に進展している。」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画調書における『1.キラルセレクターの導入率や残存基量などを精密に制御したキラル・アキラル複合型固定相合成法の確立』に関しては、2022年度の研究においてほぼ達成できたと考えられる。また、『2.最適な固定相組成の合理的類推法の確立』に関してもある程度達成できた。 そこで、2023年度以降は、この知見を用いて『3.テイラーメイド複合型固定相を用いた実試料分析』に関して、ヒト尿試料や血漿試料、ヒト疾患モデル動物試料などの実試料に対して、上記『1』、『2』の方法で設計・合成した複合型固定相を用いて、二次元キラルHPLCシステムによる微量鏡像異性体分析法開発を推進する予定である。具体的な推進方法として、現状では、概念実証として、上記の方法で設計・合成した固定相を用いて、実試料中のロイシン・イソロイシン・アロイソロイシンの、それぞれの鏡像異性体計6種の一斉分析法を開発中であり、これを推進する予定である。 また、並行して『2.最適な固定相組成の合理的類推法の確立』に関しては、研究計画調書の内容に加えて、様々なアミノ酸鏡像異性体の異なった固定相・移動相条件における保持時間データを蓄積し、多変量解析やAIを用いることで、データ駆動的に最適な固定相組成を類推する方法についての基礎的検討も行う予定である。 その後は、これまでの研究をさらに発展させ、対象鏡像異性体毎、試料マトリックス毎に複合型LC固定相の構造・組成を最適化することで、これまで困難であった、簡便かつ迅速な微量鏡像異性体の高選択的分析を可能としていく。これにより、微量鏡像異性体の生体中での変動や機能の解析を加速し、医薬品やバイオマーカーなどの医療におけるシーズ探索の飛躍的推進を目指す。
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