研究課題/領域番号 |
22K06553
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 城西国際大学 |
研究代表者 |
竹内 一成 城西国際大学, 薬学部, 准教授 (10734931)
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研究分担者 |
西川 元也 東京理科大学, 薬学部薬学科, 教授 (40273437)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 経皮DDS / PLGA / PEG / ナノ粒子 / 乾癬 / シクロスポリンA / タクロリムス / DDS / 経皮投与 / 皮膚疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
薬物の経皮投与においては、皮膚上層の角質層によるバリア機能の克服が不可欠である。一般に、高分子を用いたナノ粒子は皮膚透過性が低く、皮膚深部への到達が困難であるが、我々は乳酸‐グリコール酸共重合体(PLGA)とポリエチレングリコール(PEG)から成るブロックコポリマーを用いることで、これが改善可能であることを見出した。難治性皮膚疾患の多くは、表皮および真皮において炎症が生じるため、本ナノ粒子はその治療に有用であると考えられる。本研究では、PLGA-PEGブロックコポリマーを用いた薬物含有ナノ粒子を開発することで、ナノDDS技術を応用した難治性皮膚疾患治療のための経皮投与システムの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、角質層を透過可能な PLGA-PEG-PLGA トリブロックコポリマー (PLGA-PEG-PLGA)を用いて調製したナノ粒子の難治性皮膚疾患に対する有用性を評価するために、疾患モデル動物を用いた治療実験を行った。なお治療実験には、6週齢の雌性 BALB/c マウスにイミキモドクリーム 62.5 mg を6日目まで毎日塗布しすることで作製したイミキモド誘発乾癬モデルを用いた。 これまでの研究により開発されたシクロスポリン A (CsA)含有 PLGA-PEG-PLGA ナノ粒子においては、イミキモド誘発乾癬モデルを用いた in vivo 治療実験において本ナノ粒子の有用性が示される結果となった。データが出揃ったため、現在、学術論文として発表すべく、準備を進めている。また、乾癬治療薬のナノ粒子化がその治療効果に与える影響に関する研究においては、平均粒子径約 30 nm のタクロリムス (Tac) 含有 PLGA-PEG-PLGA ナノ粒子の調製に成功した。透過型電子顕微鏡を用いた外観観察により、球形粒子であることが確認された。また、イミキモド誘発乾癬モデルから摘出した皮膚を用いた皮膚透過試験の結果より、PLGA ナノ粒子と比較して、PLGA-PEG-PLGA ナノ粒子は皮内への Tac 送達能が高いことが示唆された。イミキモド誘発乾癬モデルマウスを用いた in vivo 治療実験では、Tac 単純溶液投与群と比較して、ナノ粒子投与群において皮内サイトカイン量が有意に減少した。また、治療実験後の皮膚の外観および切片の観察の結果、PLGA-PEG-PLGA ナノ粒子は Tac 軟膏と同等かそれ以上に乾癬症状を抑制することが明らかとなった。以上の結果から、PLGA-PEG-PLGA ナノ粒子は、乾癬皮膚に対して皮内 Tac 送達量を向上させることで、乾癬症状を改善できることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は、計画していた CsA 含有ナノ粒子の乾癬に対する治療効果の確認を行うことができた。乾癬治療における PLGA-PEG-PLGA を用いた薬物のナノ粒子化が治療効果に与える影響に関する検討においても、ナノ粒子化の有用性が示されており、本研究は順調に進んでいると言える。加えて、アトピー性皮膚炎への応用可能性の検討に関する実験も開始しており、疾患モデル動物の作製に成功した。これらの研究成果の一部は、学会年会およびシンポジウムで発表した。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、アトピー性皮膚炎における CsA 含有ナノ粒子の治療効果に関する検討を中心に、研究を進める。
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