研究課題/領域番号 |
22K06554
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
横山 英志 東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 准教授 (70433208)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | キネシン / モータータンパク質 / 結晶化 / 構造解析 / ATPアナログ / 構造 / 熱分析 / 抗がん剤 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、キネシンCENP-Eモータードメインと阻害剤もしくはATPアナログとの複合体の立体構造をX線結晶構造解析で初めて決定し、他のキネシンEg5のADP結合構造、ATPアナログ結合構造、阻害剤結合構造と比較してCENP-Eの特徴的なATP結合と阻害剤による阻害の様式を解明する。また等温滴定型カロリメトリーで、立体構造だけでは得られない結合様式を熱力学的に解明する。さらに様々な化合物のin silicoシミュレーションを行い、有望な阻害剤を提案する。
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研究実績の概要 |
本研究では、X線結晶構造解析と熱分析(等温滴定型カロリメトリー)を主な手法として、細胞分裂期特異的なキネシンモータータンパク質であるCENP-Eとその阻害剤やATPアナログとの複合体構造を決定し、それら阻害剤による阻害の様式やATP加水分解の反応機構を解明することで、新規な抗がん剤を設計する構造基盤を得ることを目的とした。既存のタキサン、ビンカアルカロイドなどの微小管阻害剤と異なり、キネシンモーターの阻害剤は非分裂期の微小管には作用しないため、副作用の少ない抗がん剤のリード化合物として期待できる。 初年度の令和4年度には、ヒトCENP-Eのモータードメイン(C末にHis tagを付与)の大量発現と精製の手法をすでに確立しているので、その手法で精製サンプルを得たのち、タンパク質発現時から含まれる内因性のヌクレオチド(ADP)を酵素apyraseを用いて加水分解して除去し、非加水分解性ATP アナログであるAMPPNPを添加した複合体の結晶を得、放射光施設(つくば高エネルギー加速器研究機構)にて1.9 Åと高分解能でX線回折強度データを収集し、分子置換法により構造解析を行った。得られた構造では、AMPPNPの電子密度が確認できた。このAMPPNP複合体構造を既に得られているADP複合体構造と比較することで構造変化を考察した。また本構造を、異なるファミリーのキネシンモータードメインのAMPPNNP複合体構造と比較することで、CENP-Eの特徴的な構造を考察した。構造の詳細について論文にまとめ投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. CENP-EモータードメインとATPアナログとの複合体の構造解析を行い、論文発表を行うことができた。 2. これまでの精製手法を用いてCENP-Eモータードメインと阻害剤との複合体の結晶化を進めており、良質な結晶が得られれば構造解析を行うことができる。
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今後の研究の推進方策 |
CENP-EモータードメインとATPアナログとの複合体の構造解析を初めて行った。この手法を用いて、CENP-Eモータードメインと阻害剤との複合体について結晶化と構造解析に取り組んでいる。CENP-Eモータードメインと阻害剤との複合体構造はこれまで未解明であるため、阻害剤との複合体構造を初めて決定して各種阻害剤の結合様式を解明することができれば、新たな抗がん剤開発の構造基盤が得られると考えられる。さらにCENP-Eモータードメインとその阻害剤(数種)との熱分析を行うことで複合体のX線結晶構造解析だけでは得られない情報を得る予定である。
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