研究課題/領域番号 |
22K06557
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
井之上 浩一 立命館大学, 薬学部, 教授 (30339519)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 高速向流クロマトグラフィー / 3Dプリンティング / 毒きのこ / 単離精製 / 抗生物質 / ASAP-MS |
研究開始時の研究の概要 |
HSCCC装置は、従来の液体クロマトグラフィー(LC)とは異なる液-液分配(2相溶媒系)を用いた分離技術であり、充填剤による不可逆的吸着や不活性化などの問題を解決できる唯一の方法である。しかし、HSCCC研究を10年以上遂行した結果、主に3つの課題を解決することで飛躍的に汎用性が高まると確信した。1つ目の課題に、溶媒充填カラムを高速回転させるため(アルキメデスのスクリュー効果)、各種装置デバイスの摩耗が激しく、耐久性に問題があること。2つ目に、2相溶媒系を分離カラムとして利用するため、有機溶媒を多量に使用・廃棄すること(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals, SDGsに反する環境負荷が考えられる)。
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研究実績の概要 |
初年度において、高速向流クロマトグラフ(HSCCC)装置の効率化及び持続可能性を目指して、基盤研究を実施した。本目的にある通り、天然活性物質(毒きのこ成分、抗生物質など)を対象とするため、本年度は異性体を含み単離精製の望まれるミルベメクチンを用いた検討を行った。HSCCC分離のため、最適な2相溶媒系を決定するため、in silico系となる実験計画で行った結果、n-hexane/ethyl acetate/methanol/water, 9/1/7/3, v/v/v/vを決定した。その後、本溶媒をHSCCCに利用し、持続可能性を目指した固定相リサイクルシステムを構築し、少なくとも5回以上の再現性を得ることができた。その際の溶媒保持率も良好な結果(88%)を得た(試料の注入量 100 mg/1回)。HSCCC分精製後、ミルベメクチンA3及びA4はいずれもHPLCによる98%以上の高純度のものが得られた(残留農薬試験法の標準品純度95%以上達成)。よって、目的である液-液分配溶媒をリサイクルできるサスティナブルな分離精製システムを構築できた。次に、脱溶媒(脱酸素)を目指した構造同定法として、off-line atmospheric pressure solid analysis probe-high resolution mass spectrometry(ASAP-MS)を用いて直接分析(移動相などの溶媒を用いない)した結果、m/z528.29及びm/z542.32が検出され、いずれもミルベメクチンA3及びA4として同定することができた。以上の研究結果より、初年度の基礎的な検討が実施されたと判断した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度として、既存のHSCCC装置を用いた液-液分配溶媒をリサイクルできるサスティナブルな分精製システムの構築と脱溶媒(脱炭素)を目指した単離精製物の同定を実施した。今回、抗生物質であるミルベメクチンのA3及びA4を高純度に単離精製することができた。また、溶媒削減率としては80%以上を達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は、具体的な3Dプリンターなどを用いたHSCCC装置開発と毒きのこ成分の単離精製への応用を目指す。初年度に、HSCCCの問題とされていた有機溶媒を多量に使用・廃棄することへの解決策が示され、それに準ずる装置を検討する。これにより、持続可能な開発目標(SDGs)へ貢献できるものと考える。
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