研究課題/領域番号 |
22K06558
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
田中 将史 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (40411904)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | シクロデキストリン / ペプチド / リンカー / マイクロ波 / CDナノスポンジ |
研究開始時の研究の概要 |
薬物包接能を有するシクロデキストリン(CD)をリンカーで連結させたナノ粒子である“CDナノスポンジ”は、高い薬物保持能力を示す。一方、リンカーを切断することにより、包接された薬物の放出が促進される。そこで、腫瘍組織周辺で高い活性を示すマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の基質となるペプチドをリンカーとして用いることで、CDナノスポンジの架橋構造の切断に基づく脱組織化という新しいコンセプトの「薬物放出促進技術」の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
シクロデキストリン(CD)をリンカーで連結させたナノ粒子である“CDナノスポンジ”は、協同効果により高い薬物保持能力を示す。一方で、リンカーを切断することによって包接された薬物の放出が促進されるため、CDナノスポンジの架橋構造の切断に基づく脱組織化という新しいコンセプトの「薬物放出促進技術」の確立を目指している。 昨年度、CDナノスポンジの合成後に適切な溶媒で透析することで、架橋形成したナノ粒子から遊離のCDおよびリンカーを除去することに成功していたが、今後の生産性を考慮すると、現実的ではないと考えた。そこで、より水溶性が高く、それゆえ水での透析が容易なヒドロキシプロピル(HP)化したβ-CDを用いる戦略に変更することとし、HP-β-CDのチオール化を行った。当初、β-CDの場合と同様に、ヨード化あるいはブロム化を介したチオール化を試みたが、いずれも上手くいかなかったため、マイクロ波によるチオール基の導入条件を検討した。 既報通りの条件では、CD分子自体の加水分解物と考えられるm/zを示す化合物のみが質量分析により認められた。マイクロ波の出力(ワット数)、反応温度、反応時間などを検討した結果、CDの分解をある程度抑制しつつ、チオール化しうる条件を見いだした。ただし、合成後に反応物であるチオ尿素をアセトン抽出により除去した試料について、チオール基を検出するエルマン試薬による呈色反応を行ったところ、計算上、CD一分子につき結合したチオール基が1つにも満たないため、最適化条件のさらなる検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
用いるCDの種類を、β-CDからHP-β-CDへと変更し、昨年度までにβ-CDで確立していたチオール化の条件を新たに検討することとなったため、若干の遅れが生じている。ただし、同時に、リンカーとして用いる両端にマレイミド基のついたペプチドの精製も行っており、十分に挽回可能である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、CDナノスポンジの調製と物性評価、薬物の結合性評価を行う。また、マトリックスメタロプロテアーゼによるペプチドの切断やそれに伴う薬物の放出性評価を実行する。さらに、動物実験などを見据えた生体適合性の評価も行う。
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