研究課題/領域番号 |
22K06564
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
|
研究機関 | 昭和薬科大学 |
研究代表者 |
唐澤 悟 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (80315100)
|
研究分担者 |
梅野 智大 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40879524)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 発光性化合物 / ヘリセン / ビラジカル / プッシュプル型 / 発光プローブ / 金属イオン検出 / 生体イメージング / 光ラセミ化 / らせん / ピリダジン / 光異性化 / 分析試薬 / π拡張 / 蛍光 / イメージング / ラジカル |
研究開始時の研究の概要 |
二環式からπ拡張して得られた3つのプッシュプル型多環式発光分子(イミダゾナフチリジン、アンチリジン、アザペンタヘリセン)について、申請者が研究をまとめ全体を総括し、以下に示す共同研究者と密な連携のもと進めていく。 アクア錯体:大学院生の松本祥汰が担当する。三価金属から成るアクア錯体の蛍光認識を達成する。 アンチリジン:研究生の池野敬太が担当する。発光性アンチリジン誘導体の超分子的会合を明らかとする。 アザペンタヘリセン(APH):特任助教の梅野智大が担当する。APHを合成し光照射前後の構造変化・物性変化を明らかとする。また光ラセミ化、光デラセミ化について検討を行う。
|
研究実績の概要 |
我々は電子供与性基と電子求引性基を有するプッシュプル型二環式アミノキノリン誘導体を用いて、様々な刺激に応答する発光現象を見出してきた。今回二環式からπ拡張して得られた3つのプッシュプル型多環式発光分子について蛍光特性を明らかとし、昨年度に引き続き分析試薬や生体イメージング剤としての可能性について検討を行った。 ①:昨年度ブレンステッド酸である金属アクア錯体を認識可能なイミダゾナフチリジン骨格を有するTurn-ON型蛍光分子INAが、三価金属イオンのみ検出することが明らかとなり、研究成果はChemical Communicationsに受理された(2023年)。INAの機能性解明を行っている段階で、新たに光増感作用を示すことが見出された。ESRによりINAの光照射によって活性酸素種が発生していることが見出され、HeLa細胞や3T3L1細胞中へINAを取り込ませた状態で光照射を行うと、アポトーシス的な細胞死を誘導することを見出した。現在、細胞小器官の中で脂肪滴中でINAが集積し、細胞死を誘導していると考えている。論文投稿準備中である。 ②:三環式アンチリジンへ脱離能が高いハロゲンを導入した誘導体について、アミノ基との反応性を検討してきた。同じ三環式のベンゾキノリンと比べてアンチリジンは非常に高いアミン反応性を有していることが明らかとなった。一方で高すぎる反応性により副生成物を誘発してしまうため、ベンゾキノリンよりも高くアンチリジンよりも低い反応性を有するピリドキノリンについて新たにアミン反応性を検討している。予想通りのアミン反応性を示すことが見出された。 ③:アザペンタヘリセン誘導体については、神戸大学との共同研究によって光ラセミ化を主題とした論文をまとめChem. Eur. J.へ受理された。光照射中に励起三重項状態を経由し、さらにはビラジカルが生成していることも見出された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は3つのサブテーマ(①、②、③)で進めており2年が経過した。ている。 ①:イミダゾナフチリジンについては、成果を2022年度Chem. Commun.へ発表した。 ③:アザヘリセンについては、成果を本年度2023年度Chem. Eur. J.へ発表した。 これらについては予定通り研究が進んだ結果、成果発表ができた。 ②:アンチリジンについては論文作成中であり、今年度成果発表できる見込みである。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度となり、計画通り進んでいる①と③については、現状の機能を上回る物質合成へ向けて準備中である。具体的には、①のイミダゾナフチリジンについては、光増感剤としての機能を示すことが明らかとなってきており、どの程度効果的に光照射により活性酸素種が発生するか検討段階にある。③については、励起三重項状態を経由することが確かめられており、より効果的に経由させるための重原子クロル基、ブロモ基を導入したアザヘリセン誘導体の構築を進めている。予備的な実験ではあるが、今年度成果発表したアザヘリセンを上回る光ラセミ化速度が得られている。 予定より進みが遅い②のアザヘリセン誘導体については、現在論文作成中であり、二環式から三環式とすることによって得られた吸収特性や蛍光特性をまとめ、分子構造との関連性も含めて今年度成果発表する予定である。
|