研究課題/領域番号 |
22K06565
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
梅澤 雅和 東京理科大学, 先進工学部マテリアル創成工学科, 講師 (60615277)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ランタノイド / 第二の生体の窓 / 酸化セリウム / 抗酸化作用 / 近赤外蛍光 / ナノ粒子 / 超微小粒子 / in vivoイメージング / 近赤外 / In Vivoイメージング / 抗酸化材料 |
研究開始時の研究の概要 |
酸化セリウムナノ粒子への発光性ランタノイド導入条件を最適化することで、生体深部(マウス全身レベル)での体内動態を追跡可能にする長波長近赤外蛍光標識を粒子に施す。酸化セリウムナノ粒子の表面修飾ついても、カテコール基を持つ分子(DHCA,dopamine)の活用により粒子表面に官能基(カルボキシル基やアミノ基)を導入するプロトコールも見出されている。これらの手法を活用し、酸化セリウムナノ粒子製剤の体内動態を追跡しながら、酸化セリウムナノ粒子の薬理効果と体内動態との関連を、その基本物性ごと及び体内環境ごとに分析することで体系的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、抗酸化作用を持ち生物学的応用が期待される酸化セリウムナノ粒子について、その体内動態をマウス全身レベルで追跡可能にするために、第2の生体の窓にあたる近赤外(NIR-II)蛍光性付与のために適したランタノイド導入(Yb, Er共ドープ)条件ならびにナノ粒子合成条件を見出すことを目標としている。初年度は、均一沈殿法により近赤外蛍光(波長1520~1550 nm)強度が最大となったランタノイド比である Ce: Yb: Er = 89: 10: 1 (mol%) の条件で、酵素分解法(ウレアーゼを用いて反応系に加えた尿素をアンモニア分解することで、粒子合成に必要なアルカリ条件を得る)ならびに逆ミセル法による合成法の検討を行った。どちらの方法によって得たYb, Er含有酸化セリウムについても、焼成後に近赤外蛍光を発する酸化セリウム材料が得られた。今後の主な課題は次の3点である。(1)生体応用のためにはこの材料の超微小化(少なくとも動的粒径として10 nm以下)が必要になるため、それを実現するための合成法検討を現在進めている。(2)異なる合成法により超微小化を実現した酸化セリウムナノ粒子の近赤外蛍光性を最大にするランタノイド導入比は、従来法(均一沈殿法により得られる粗大粒子)とは異なる可能性があるため、超微小化後にその最適な導入比を見出すことが課題である。(3)さらに、超微小化をしたYb, Er含有酸化セリウムナノ粒子の近赤外蛍光は親水・生理学的環境では熱失活により消光してしまう懸念があるため、超微小化後に消光を防止する方法の検討もその次の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度中に行う予定であった項目である (1) 近赤外蛍光強度の高いランタノイド導入条件の探索、(2) カテコール化合物を用いた表面修飾の可能性の検討、(3) 超微小化のための合成条件の検討準備、(4) 初年度に得られた近赤外蛍光酸化セリウムナノ粒子の体内動態ライブイメージングのデモ的検討をいずれも行うことができた。これが、「おお旨順調に進展している」と言える理由である。(1) (4) については初年度中に学会発表を行うことができ、現在論文発表のための準備を進めている。また、(2) についても学会・論文発表を行う準備を現在進めている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度までの検討により、近赤外蛍光強度の高いランタノイド導入の一条件を見出すことができたので、次年度は(1)蛍光酸化セリウムナノ粒子の生体応用のための超微小化(少なくとも動的粒径として10 nm以下)のための合成法検討、(2)新たな方法により得たランタノイド導入酸化セリウム超微小粒子の近赤外蛍光性を最大にするランタノイド導入比の検討、(3)この蛍光性の親水・生理学的環境下における消光防止策の検討を行う。(1,2)については合成時の各試薬・原料の濃度検討、(3)については消光要因となる極性分子のコンタミネーションを最小化するための合成法検討、ならびに親水溶媒でなく食用油に分散することの検討を行う。新規に合成した近赤外蛍光酸化セリウムナノ粒子の発光強度を確認しながら、これをマウスに経口投与し、消化管吸収から肝臓など標的器官への到達及び排泄を、近赤外蛍光イメージング装置によりスクリーニング検証する。マウスに経口投与した後の体内動態可視性と、消化管吸収効率の粒子径ならびに分散媒(水、食用油)依存を追究する。ナノ粒子の消化管吸収は胆汁分泌にも依存し得ることから、マウスに高脂肪食を与え胆汁分泌を促進した場合の酸化セリウムの体内動態ならびに薬理(抗酸化)活性についても、異なる条件で得られた蛍光酸化セリウムナノ粒子ごとに比較検討を行う。
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