研究課題/領域番号 |
22K06566
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
橋崎 要 日本大学, 薬学部, 准教授 (60318459)
|
研究分担者 |
藤井 まき子 日本大学, 薬学部, 教授 (50199296)
小菅 康弘 日本大学, 薬学部, 教授 (70383726)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | レシチンオルガノゲル / 抗原 / オボアルブミン / 油性スマートゲル / 経皮吸収 / ワクチン / 逆紐状ミセル |
研究開始時の研究の概要 |
感染症の予防は世界的に重要な課題であり、根本的予防における唯一の方法がワクチン投与であるが、現行のワクチンのほとんどが注射剤である。注射剤は直接体内に投与するため、確実に効果が得られる反面、無菌性の保証が必要であり、製造および使用に制限がある。このため、注射に代わるより簡便な使用方法が望まれている。 そこで本研究では、レシチンオルガノゲル(LO)技術を利用した油性スマートゲル製剤を設計し、非侵襲的で簡便性に優れる経皮吸収型ワクチン製剤の開発が可能であるか検討する。
|
研究実績の概要 |
抗原/アジュバント複合レシチンオルガノゲル製剤(LO製剤)の調製は、レシチン/極性物質/オイルの3成分系に、モデル抗原としてオボアルブミン(OVA)を加えて調製した。レシチンには大豆由来の高純度ホスファチジルコリン、極性物質には水またはD-リボース、オイルにはミリスチン酸イソプロピルを用いた。 LO製剤の調製は、Freeze Drying法(FD法)および改良FD法(improved FD法、iFD法)により調製した。FD法は、レシチンとOVAからなる凍結乾燥物に、極性物質の水とオイルを添加する方法である。一方、iFD法は、レシチンとD-リボースとOVAからなる凍結乾燥物に、オイルを添加する方法である。得られた製剤について、目視観察、透過率測定、小角X線散乱(SAXS)測定、レオロジー測定を行った。 目視観察の結果より、いずれのLO製剤も、OVA濃度が0.3%までは透明性が高く、OVA濃度が0.6%以上になると濁りを生じることがわかった。 透過率測定の結果より、いずれの方法で調製したLO製剤も、OVAが製剤中に可溶化され、可溶化限界量を超えても製剤中で安定に分散することがわかった。 SAXS測定の結果より、いずれの方法で調製した場合も、LO製剤中に逆紐状ミセルの存在が確認された。また、SAXSプロファイルの低q領域における傾きは、OVAの濃度が0.3%まではほとんど変化しなかった。これは、OVAがLO製剤中に可溶化されている状態では、LO製剤中の逆紐状ミセル構造は変化しないことを意味している。一方、OVAの濃度が0.6%以上になると、低q領域の傾きが増加した。このことから、可溶化限界量を超えたOVAがサブミクロンサイズのコロイド粒子となって製剤中に分散していることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当研究室ではこれまでに、水溶性高分子をレシチンオルガノゲル中に可溶化する技術(FD法)の開発に成功している。しかしながら、FD法は作業工程の問題で液体の極性物質(水など)しか用いることができなかった。本年度は、固体の極性物質を使用するための改良FD法の開発に成功した。 さらに、FD法およびiFD法で調製したLO製剤を用いて、OVAの放出性ならびに皮膚移行性についても検討を始めている。 また、一部のLO製剤では感作実験の予備検討も始まっており、おおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度の結果を踏まえ、OVAの皮膚移行性評価および感作性評価を本格的に進める予定でいる。 OVAの皮膚移行性は、ヒト皮膚に近いユカタンミニブタ摘出皮膚を用いて検討を行う。この結果を踏まえ、製剤の最適化を行う。 感作性評価は、各種LO製剤をマウスに皮下注射および皮膚適用し、血清中IgGおよびIgE濃度の測定から皮膚適用時の有用性を評価する予定である。
|