研究課題/領域番号 |
22K06567
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
古野 忠秀 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (80254308)
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研究分担者 |
鈴木 崇弘 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (70298545)
横川 慧 愛知学院大学, 薬学部, 講師 (40804406)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | マスト細胞 / インテグリン / マトリックス / ゲル / 開口放出 / イメージング / 細胞接着 |
研究開始時の研究の概要 |
マスト細胞の細胞膜上では、刺激応答に伴って細胞内の分泌顆粒に含まれるヒスタミンをはじめとするメディエーターの開口放出も起こっている。本研究では、まず蛍光タンパク質を活用して、刺激応答に伴う細胞接着装置の複合体形成過程をリアルタイムで追究する。次に、蛍光・発光デュアルイメージング法を用いて、細胞膜での細胞接着装置と開口放出のダイナミクスを明らかにするとともに、細胞接着装置による開口放出の動的制御機構を解明する。そして、動物組織を用いて、得られた結果の生体における妥当性と意義を検証し、アレルギー疾患に対する治療薬の新規標的分子の発見につなげる。
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研究実績の概要 |
細胞接着装置によるマスト細胞の開口放出の動的制御機構の解明のため、GelMA(gelatin methacryloyl)を用いて、弾性係数の異なるゲルを再現性よく作製する技術を確立した。GelMAを基材とした硬さの異なるゲル(マトリックス)を作製し、表面にコラーゲンコートを施してマスト細胞のモデル細胞(RBL-2H3細胞)を培養した。そして、接着斑を形成するintegrinやtalinの細胞内分布および抗原刺激に伴う細胞の活性化の強度について検討した。その結果、紡錘形をしているRBL-2H3細胞は、軟らかいマトリックス上では細胞の形が丸くなり、マトリックスの弾性係数が減少するとともに、抗原刺激に伴う脱顆粒が減弱することが明らかになった。次に、その分子機構を明らかにするため、カルシウムイメージングにより抗原添加後の細胞内カルシウムイオン動態を調べたところ、ゲルの有無によってカルシウムシグナルの応答に違いが見られることがわかった。具体的には、ゲルの有無に関わらず持続的な上昇パターンを示す細胞が多かったが、ゲル上で培養した細胞は、ガラス上の細胞に比べて、細胞内カルシウムイオン濃度が素早く上昇するものの、上昇の大きさは小さかいことが分かった。また、接着斑を形成するintegrinやtalinの細胞内分布にも違いが見られ、ゲル上の細胞は、ガラス上の細胞に比べて細胞の接着面側にintegrinが分布している面積が小さいように思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
硬さの異なるマトリックスを安定して作成する手法を確立した。そして、硬さに応じて細胞応答の強度が異なることも明らかにした。今後は、イメージング技術を駆使して、細胞接着装置によるマスト細胞の開口放出の動的制御機構を明らかにしていく。
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今後の研究の推進方策 |
今年度確立した手法を用いて、integrin接着装置を構成するタンパク質(talin、vinculin、paxillin、FAKなど)、細胞骨格タンパク質(アクチンとチューブリン)、及び、細胞骨格タンパク質をつなぐタンパク質(plectin、tau、ACF7など)の硬さの異なるマトリックス上での抗原刺激応答に伴う細胞内動態を解析する。また、蛍光・発光デュアルイメージングにより、形成された接着装置と開口放出部位の連関を明らかにする。 これらの実験結果を基に、細胞接着装置による開口放出の動的制御機構の分子レベルでの解明につなげていく。
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